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会計士が事業会社に転職すると年収は下がる?転職後に何が起きるかと後悔しない選び方

「会計士 事業会社 転職」

この言葉で検索する人の多くは、監査という仕事そのものが嫌になったわけではないのだと思います。ただ、あと何年この働き方を続けるのかを想像したときに、手が止まる。

ひのです。社会保険労務士をしながら、本業では会社の管理部門で給与計算と人件費の管理を担当しています。

最初に正直に書いておくと、僕は公認会計士ではありませんし、監査法人で働いた経験もありません。

ひの
ひの

ただ、監査法人から事業会社に移ってきた会計士を、迎える側としてなら何人も見てきました。提示額を等級表のどこに当てはめるかを人事と話し、席を用意して、入社初日にIDを渡す。あの一連は、僕の側の仕事です。

半年後にどうなっていたか。一年後に何を任されていたか。逆にどこでつまずいて、何を悔しがっていたか。転職市場を外から眺めた話ではなく、受け入れたあとに実際に起きたことを、いちばん近い場所で見てきました。

だからこの記事は、会計士を送り出す側ではなく、迎える側から書きます。

【この記事でわかること】
・会計士が事業会社への転職を考えるときの5つのきっかけ
・事業会社で会計士が座る6つのポジションと、それぞれの中身
・年収は下がるのか(平均値の比較が生む誤解と、下がらない人の条件)
・受け入れる側から見た、活躍する会計士とつまずく会計士の違い
・上場・非上場・IPO準備で、同じ事業会社でも別世界になる理由
・動くタイミング、面接で聞くべきこと、向き不向き

ひの
ひの

この記事は事業会社を勧める記事でも、監査法人に残れと言う記事でもありません。移ったあとに何が起きるのかを先に知ってもらって、あなたが選べる状態になることだけを狙っています。

ひとつだけ先に。この記事を最後まで読んでも、あなた自身にいくらの提示が出るのかは分かりません。それが分かるのは、いま実際に会計士へ求人を出している会社と話したときだけです。

読み進めながらでかまわないので、頭の片隅に置いておいてください。

転職エージェントで会計士求人をチェックしておくだけでも自分のポジションが分かりますし、有利に戦えます。

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  1. この記事の執筆者の信頼性
  2. 会計士が事業会社への転職を考える5つのきっかけ
    1. ① 確かめる側から、作る側に回りたくなった
    2. ② 会社の一年に、最後まで付き合いたくなった
    3. ③ 生活の予定が立つ働き方にしたくなった
    4. ④ 会計以外の言葉を覚えたくなった
    5. ⑤ 生活側の事情が先に来た
  3. 事業会社で会計士が座る6つのポジション
    1. 経理は、監査の経験がそのまま生きます
    2. 財務は、会計とは頭の使い方が変わる席
    3. 経営企画は、いちばん『事業を作る側』に近い
    4. 内部監査は、監査の型を持ち込める席
    5. IPO準備室は、経験が一気に濃くなる席
    6. CFO・管理部長候補は、席が空くタイミング次第
  4. 会計士が事業会社に転職すると年収は下がる?
    1. 平均値どうしを比べると、必ず誤解します
    2. 監査法人側の年収は、役職でほぼ決まっている
    3. 事業会社の年収提示額は『会計士だから』では決まらない
    4. それでも会計士は等級表を飛び越えることがある
    5. 年収が下がる人と、下がらない人の分かれ目
  5. 『活躍する会計士』と『浮いてしまう会計士』
    1. 活躍する会計士に共通していた3つのこと
    2. つまずきやすかった3つの場面
    3. 最初の3か月で、実際に起きること
  6. 監査法人と事業会社で、いちばん変わる3つのこと
    1. まず時間の流れ方が変わる
    2. 正しさの基準が変わる
    3. 数字との距離が変わる
  7. 会計士の事業会社転職でよくある5つの失敗
    1. ①『経理』という職種名だけを見て入った
    2. ②一人経理の会社に、いきなり入った
    3. ③IPO準備の実態を確かめなかった
    4. ④年収だけで会社を選んだ
    5. ⑤監査法人を辞めることが目的になっていた
  8. 上場・非上場・IPO準備で、事業会社の中身はまったく違う
    1. 上場企業は、監査法人の経験がそのまま価値になる
    2. IPO準備企業は、作る側に回れるが賭けの要素がある
    3. 非上場の中堅企業は、当たり外れの幅がいちばん大きい
  9. 会計士が事業会社に転職をするタイミング
    1. 修了考査の前に動くときの注意
  10. 事業会社以外の選択肢と比べてから決める
  11. 面接・面談で必ず聞いておきたい6つのこと
  12. 事業会社に向いている会計士・向いていない会計士
  13. 会計士の事業会社転職についてよくある質問
  14. まとめ

この記事の執筆者の信頼性

僕はひのと言います。

【主な保有資格】
社会保険労務士(全国社会保険労務士会連合会 登録)
ファイナンシャルプランナー2級(日本FP協会 登録)

会計士の事業会社転職という話に入る前に、僕がどの位置から書いているかをはっきりさせておきます。

項目内容
名前ひの
保有資格社会保険労務士(令和元年合格・3回受験)/FP2級
本業事業会社の管理部門。給与計算・社会保険事務・人件費管理を担当
会計士との関わり監査法人から移ってきた会計士の受け入れ側。等級・提示額の調整と入社後のフォロー
監査との関わり被監査側として決算期の資料提出と往査対応を担当
採用との関わり中途採用で応募書類の資格欄と職歴を確認する側

僕は監査法人の中にいたことはないので、法人内部でしか分からない評価や査定の話は書けません。

そのかわり、会計士が事業会社に入ったあとに何を任され、どこで評価が伸び、どこで詰まるのか。この部分は、受け入れる側にいるぶんだけ具体的に書けます。

【この記事で書かないこと】
・監査法人の内部でしか分からない人事評価や査定の詳細
・特定の企業名を挙げた年収の断定
・公表資料で裏の取れない「事業会社に移った会計士の平均年収」

ひの
ひの

分かることと分からないことを混ぜないのが、当事者ではない僕がこのテーマを書くときにできる、誠実なやり方だと思っています。

会計士が事業会社への転職を考える5つのきっかけ

会計士が事業会社への転職を考える5つのきっかけ

会計士が事業会社を意識しはじめるきっかけは、面談で聞くかぎり5つに分かれます。

監査法人を辞めたい理由と、事業会社を選ぶ理由は、実は似ているようで別物です。

【事業会社に目が向く5つのきっかけ】
①確かめる側から、作る側に回りたくなった
②会社の一年に、最後まで付き合いたくなった
③生活の予定が立つ働き方にしたくなった
④会計以外の言葉を覚えたくなった
⑤生活側の事情が先に来た

① 確かめる側から、作る側に回りたくなった

監査は、すでに起きたことが正しく書かれているかを確かめる仕事です。

数字が出てくる前の会議、値付けの議論、投資するかどうかの判断。そこには入れません。独立性という制度がある以上、当然のことではあります。

ただ、何年か続けていると、この確かめる側にいることそのものに物足りなさを感じる人が出てきます。この考えの人は、事業会社に移ったあとの満足度がいちばん高いです。

ひの
ひの

うちに来た会計士の方が、初めて予算会議に呼ばれた日に「意見を求められたのが新鮮でした」と言っていたのを覚えています。監査ではまず起きないことなんですよね。

② 会社の一年に、最後まで付き合いたくなった

監査は、担当が変わればその会社との関係もそこで切れます。

去年あれだけ議論した論点が、その後どう運用されたのか。指摘した内部統制の穴が、翌年ふさがったのか。結末を見届けられないまま次の会社へ移っていく。

事業会社に入ると、この切れ目がなくなります。自分が整えた仕組みが翌期にどう効いたかを、自分の目で確認できます。

③ 生活の予定が立つ働き方にしたくなった

繁忙期の重さそのものより、予定が立たないことがイヤ、という声をよく聞きます。

事業会社の経理にも月次と年次の山はありますが、日付があらかじめ決まっています。第何営業日に締めて、いつ取締役会にかけるか。年間のカレンダーが先に見えている働き方です。

ただしここは会社によって大きく違うので、後半の失敗パターンの章で詳しく書きます。

④ 会計以外の言葉を覚えたくなった

会計基準と監査手続だけで会話が成立する環境から出て、製造原価の話を工場長とする、システム導入の要件を情シスと詰める。

そういう別の言語を覚えたくなるタイミングが、だいたい入所5年目前後で来るようです。

ひの
ひの

このタイプの人は伸びます。うちでも、経理から入って半年で在庫の実地棚卸まで見に行った会計士がいました。数字の裏側にある現物を見たがる人は、社内での信用のつき方が全然違います。

⑤ 生活側の事情が先に来た

結婚、出産、親の介護、配偶者の転勤。仕事の中身とは関係のないところから、働き方を変える必要が出てくることもあります。

この型で動く人は、動機を後ろめたく感じがちですが、面接ではまったく不利になりません。

むしろ「長く働ける環境を探している」と受け取られるので、正直に話したほうが通ります。

ひの
ひの

採用側から見ると、生活の事情で動く人は定着しやすいんです。条件が合っていれば長く働いてくれる。会社にとっては、これ以上ありがたい理由はありません。

5つのうち、自分がどれに近いかで、次に見るべき求人がまるで変わります。作る側に回りたい人が経理の伝票起票だけの求人に入ると、半年で同じ不満に戻ります。

自分のタイプと求人の中身が噛み合っているかどうかは、求人票の文面だけでは判断できません。その会社でいま何が起きていて、なぜその席が空いたのか。

そこまで知っている人に聞くのが、いちばん早いです。

事業会社で会計士が座る6つのポジション

事業会社で会計士が座る6つのポジション

事業会社への転職と一括りにされますが、実際に座る席は6種類あって、任される仕事も評価のされ方も別物です。

ポジション主な仕事向いているきっかけの型年収の目安
経理(決算・開示)月次と年次の決算、開示書類の作成、監査法人対応①②600〜900万円
財務資金繰り、銀行折衝、資金調達、IR②④600〜950万円
経営企画予算策定、事業計画、M&Aの検討、経営会議の資料①④650〜1,000万円
内部監査内部統制の評価、往査、リスク管理②③600〜900万円
IPO準備室上場申請書類、内部統制構築、証券会社と主幹事対応①④700〜1,100万円
CFO・管理部長候補管理部門全体の統括、経営への参画①④800〜1,500万円+SO
出典:転職エージェント各社の公開求人情報をもとに当サイトで整理(いずれも目安。企業規模と上場区分で大きく上下します)

経理は、監査の経験がそのまま生きます

会計基準を扱えること、期日に対する規律があること、監査法人がどこを見るかを知っていること。この3つがそのまま武器になります。

監査対応ができる人が社内にいるだけで、経理部の負担は目に見えて軽くなります。決算期に監査法人から飛んでくる質問の意図を、翻訳なしで理解できる人がいるかどうかは、想像以上に大きいです。

一方で、日々の伝票起票や請求書処理も業務に含まれます。

ここを「思っていたのと違う」と感じる人はいます。

財務は、会計とは頭の使い方が変わる席

過去の数字を確かめる仕事から、これから出ていくお金と入ってくるお金を読む仕事に変わります。

銀行との折衝や資金繰り表の管理は、会計基準の知識だけでは回りません。ただ、財務諸表を隅々まで読める人が資金の側に立つと、話の精度が一段上がります。

財務という職種の全体像は『財務の転職完全ガイド』の記事にまとめています。

経営企画は、いちばん『事業を作る側』に近い

予算を組み、計画を作り、投資判断の材料を出す。監査で物足りなさを感じていた人が、いちばん手応えを得やすい場所です。

ただし、会計の正しさだけでは評価されません。事業側を説得する力や、数字がない状態で仮説を立てる力が要ります。

内部監査は、監査の型を持ち込める席

やることは監査に近いのに、立場は社内。指摘したあとの改善まで見届けられます。

会計士の中途採用ニーズが高いポジションのひとつで、事業会社の実務経験が浅くても入りやすいのが特徴です。

IPO準備室は、経験が一気に濃くなる席

上場申請書類の作成、内部統制の構築、主幹事証券や監査法人との折衝。監査の知識が全方向で必要になります。

負荷は重く、上場の時期によっては監査法人の繁忙期より厳しい期間もあります。そのぶん、一度経験すると転職市場での希少性が跳ね上がります。

CFO・管理部長候補は、席が空くタイミング次第

数として多くはありませんが、IPO準備企業やベンチャーでは会計士が管理部門の責任者に就く例があります。

CFOという仕事の中身と年収は『CFOになるには?最高財務責任者の年収やキャリア』の記事で詳しく書いています。

ひの
ひの

6つのうちどれに座るかで、5年後の職務経歴書がまったく変わります。会社名で選んで、求人の中身を確かめなかった人がいちばん後悔していました。

求人票の職種名は、実際の仕事の中身をほとんど表していません。「経理」と書かれた同じ二文字の下に、伝票起票だけの席と、開示から監査対応まで任される席が並んでいます。

その違いは、求人を横に並べて条件と業務範囲を見比べた瞬間に見えてきます。

無料登録すれば、同じ「経理」でも業務範囲がどう違うのかを、実際の求人票を並べて確認できます。

会計士が事業会社に転職すると年収は下がる?

会計士が事業会社に転職すると年収は下がる?

年収の部分はいちばん気になるところだと思います。

結論から言える部分と、言えない部分があります。

平均値どうしを比べると、必ず誤解します

よく並べられるのが、この2つの数字です。

区分平均年収
公認会計士・税理士約797万円
会計事務従事者(経理職全般)約427万円
出典:職業情報提供サイト job tag(厚生労働省)/厚生労働省「賃金構造基本統計調査」(会計事務従事者)

この2つを並べて「事業会社に行くと370万円下がる」と読むのは、完全に間違いです。

427万円は、無資格で入った人も、パートタイムの経理事務も、地方の小規模企業もすべて含んだ会計事務従事者全体の平均です。

会計士資格を持って上場企業の経理や経営企画に入る人は、この母集団の中の、かなり上の位置に立ちます。

比べるなら、平均どうしではなく「いまの自分の年収」と「その会社が自分に出す提示額」です。平均値は、自分の提示額を1円も予測してくれません。

監査法人側の年収は、役職でほぼ決まっている

先に、監査法人(BIG4)側の水準を見ておきましょう。

役職あずさトーマツPwCEY新日本
スタッフ560万600万560万600万
シニアスタッフ820万880万760万700万
マネージャー896万976万1,056万1,072万
シニアマネージャー1,088万1,152万1,280万1,280万
出典:マンパワーグループ公開情報をもとに当サイトで整理(目安)

スタッフ級で560万から600万円。ここは法人による差がほとんどありません。差が開くのはマネージャー以上です。

つまり、いま自分がどの役職にいるかで、事業会社に移ったときの「上がる・下がる」の判定は変わります。スタッフ級から動く人と、マネージャーから動く人では、まったく別の話をしていることになります。

役職別・年代別の詳細は『監査法人の年収は高い?役職別・BIG4別・年代別の実態』の記事にまとめています。

事業会社の年収提示額は『会計士だから』では決まらない

ここが、受け入れる側にいていちばん実感するところです。

事業会社には等級表があります。

何等級の何号俸で、そこにいくらの手当が乗るか。募集している席が課長相当なのか担当者相当なのかで、出せる年収金額の上限は先に決まっています。

ひの
ひの

資格があるから上乗せします、という単純な話ではないんです。空いているポストがいくらの席なのか。まずそこが天井になります。

だから同じ会計士でも、経理の担当者ポジションに入るのと、経理課長候補として入るのとでは、提示額が200万円以上違うことがあります。同じ会社の、同じ部署の中でもです。

それでも会計士は等級表を飛び越えることがある

例外は3つありました。

【提示額が等級表を超えた3つのケース】
①そのポストが長く埋まらず、採用側が焦っていたとき
②上場準備や連結の立ち上げなど、期限のある課題を抱えていたとき
③本人が「監査対応まで巻き取れる」と具体的に示せたとき

とくに③です。人件費を見る側から言うと、この人が入れば外部に払っているコンサル費用や、他部署の残業が減ると計算できたとき、提示額は動きます。

逆に「会計士資格があります」だけでは動きません。資格ではなく、その資格で会社の何の負担を引き取れるかが、金額に反映される部分です。

年収が下がる人と、下がらない人の分かれ目

下がりやすい下がりにくい
ポスト担当者ポジション課長・マネージャー候補
会社の規模中小・非上場上場企業・IPO準備企業
動く時期マネージャー昇格後スタッフ〜シニアの間
伝え方資格と監査経験を並べるだけ引き取れる業務を具体的に示す
比較の仕方1社だけ受けて決める複数社の提示額を並べて比べる

「事業会社に移った会計士の平均年収」を単独で公表している一次資料は、確認できませんでした。断定している数字を見かけたら、その出どころが書かれているかを必ず確かめてください。

ひの
ひの

僕は、数字が出ていないところにそれらしい数字を置くのがいちばん危ないと思っています。分からないことは分からないと書いて、代わりにどこを見れば判断できるかを渡すほうが、読んだあとに動けますから。

給与明細の額面を1万円上げる交渉を、社内で何年続けても届かないことがあります。等級表の天井が先に決まっているからです。

その一方で、転職の場面では、同じあなたの経歴に対して会社ごとに違う金額が出ます。100万円単位で違うことも珍しくありません。

自分の職歴にいくらの値が付くのか。それを知らないまま残るのと、知ったうえで残るのとでは、明日からの月曜日の気分がまるで違います。

自分の経歴にいくら出るのかは、ヒュープロの電話面談で聞くのがいちばん早いです。会計士の転職を専門に扱っているので、いまの職位と経験なら事業会社でいくらの提示が出るのかを、実際の求人をもとに教えてもらえます。登録は無料で、転職を決めていない段階でも使えます。

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『活躍する会計士』と『浮いてしまう会計士』

『活躍する会計士』と『浮いてしまう会計士』

ここが、僕がこの記事でいちばん書きたかったところです。

同じように優秀で、同じように監査法人で評価されていた会計士の人が、事業会社に入った半年後にはっきり分かれます。

分かれ目は実は能力ではありませんでした。

活躍する会計士に共通していた3つのこと

【入って半年で信用を得た会計士の共通点】
①最初の1か月は、いまの締めのやり方にそのまま乗った
②分からないことを、その場で聞けた
③他社の事例を、批判ではなく提案の形で出した

意外に思われるかもしれませんが、いちばん効果があるのは①です。

入って早々に業務フローの問題点を指摘するのではなく、まず既存のやり方で一度締めてみる。そのうえで「ここは変えられそうです」と言う。

この順番を守った人は、提案が通る速度がまるで違いました。

ひの
ひの

経理のメンバーからすると、来たばかりの人に手順を否定されるのがいちばんこたえるんです。一度一緒に締めた人の言うことなら、同じ内容でもすっと入る。ずるいようですが、人はそういうふうにできています。

②も大きいです。会計士という肩書きがあると、周りは「知っていて当然」と思って説明を省きます。

うちの社内システムの独特な運用や、この会社だけの慣習は、監査法人にいた人が知っているはずがありません。それを最初に聞ける人は、3か月で追いつきます。聞けない人は、半年たっても手探りのままです。

③については、事例の出し方ひとつで受け取られ方が変わります。「他社はこうしていました」ではなく「うちだとここが同じ形にできそうです」と言い換えるだけで、現場の反発がほぼ消えます。

つまずきやすかった3つの場面

【会計士が入社後に詰まりやすい場面】
①正確さを優先しすぎて、締切に間に合わない
②「監査法人ではこうでした」が口癖になる
③重要性の基準を、自分の中でしか持っていない

①は本当によく起きます。

監査の成果物は、時間をかけてでも正確であることが求められます。ところが事業会社の月次は、第何営業日に締めるという約束が先にあって、そこに間に合わないほうが問題になります。

80点で期日に出す、という判断を自分でできるようになるまでに、多くの人が半年ほどかかっていました。ここは能力ではなく、価値基準の切り替えの問題です。

ひの
ひの

僕も給与計算をしているので分かるのですが、締め日に間に合わない完璧な計算には、価値がないんですよね。1日遅れたら給与が振り込まれない。それと同じ構造が、経理にもあります。

②は、本人が思っているより周りに刺さります。3回言うと、現場は「この人はうちのやり方を下に見ている」と受け取ります。同じことを言うにしても、主語を監査法人ではなく数字に置き換えるだけで印象が変わります。

③は、社内に重要性の基準がないことに起因します。監査には金額基準がありますが、社内の業務改善には誰も基準を決めてくれません。。

最初の3か月で、実際に起きること

時期起きやすいこと乗り越え方
1か月目会計の知識は通用するのに、社内システムの操作で止まる聞ける相手を1人決めて、まとめて聞く
2か月目数字の裏を取りたいのに、誰に聞けばいいか分からない部署ごとの担当者名を自分でメモ化する
3か月目初めての月次で、締切と正確さのどちらを取るか迫られる先に上長と期日の優先順位を握っておく
4か月目以降監査対応の場面で、一気に評価が上がるここまで来れば、あとは自然に任される
ひの
ひの

僕は、会計士の方が入ってくるときは初日に組織図と、部署ごとの数字の担当者名を書いた紙を渡すようにしていました。あれを渡した人と渡さなかった人で、立ち上がりが1か月は違ったと思います。

いま挙げたことは、入る前に会社側の体制を知っていれば、ほとんど避けられます。経理が何人いるのか、締めのスケジュールはどうなっているのか、前任者はなぜ辞めたのか。

求人票には書かれていないこの部分を、応募する前に知っている人だけが、入社後の3か月を無駄にせずに済みますよ。

経理が何人いるのか、締めはいつなのか、前任者はなぜ辞めたのか。求人票に書かれていないこうした情報は、ヒュープロのような特化型の転職エージェントが企業と直接やり取りして把握しています。無料登録して聞くだけで、入社後の3か月がまるで変わります。

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監査法人と事業会社で、いちばん変わる3つのこと

監査法人と事業会社で、いちばん変わる3つのこと

年収やポジションより先に、日々の感覚が変わります。転職した人が口を揃えて言うのは、この3つでした。

監査法人事業会社
時間の流れ案件ごとに区切られる期首から期末まで途切れない
正しさの基準会計基準と監査手続期日と経営判断との折り合い
数字との距離出てきた数字を確かめる数字が生まれる場面に居合わせる
評価される瞬間調書の質と論点の詰め方部署をまたいで話が前に進んだとき
失敗のリスク監査品質の問題になる支払いや給与が止まる

まず時間の流れ方が変わる

監査は、案件という単位で仕事が区切られます。始まりと終わりがはっきりしていて、終われば次の会社に移ります。

事業会社は、期首から期末までが一本の線でつながっています。4月に決めた予算が9月に苦しくなり、2月に着地を調整する。同じ会社の同じ数字を、1年間ずっと追い続けます。

この違いを心地よいと感じるか、単調だと感じるかで、向き不向きがかなり分かれます。

正しさの基準が変わる

監査での正しさは、会計基準と監査手続に照らして説明できるかどうかです。

事業会社での正しさには、期日という別の軸が加わります。それに、経営の判断と折り合いをつける場面も出てきます。会計上はどちらの処理も許容されるとき、どちらを選ぶかは経理だけでは決められません。

ひの
ひの

ここで悩む会計士の方は多いです。ただ、悩んでいる姿を見て、周りは「この人は手を抜かない」と受け取っています。悩んだ末に期日に間に合わせた人は、確実に信用されていました。

数字との距離が変わる

監査では、出てきた数字を確かめます。事業会社では、その数字が生まれる場面に居合わせます。

値引きの判断、在庫の処分、投資の稟議。あとから仕訳になるものが、目の前で決まっていく。これを面白いと思えるかどうかが、いちばん大きな分かれ目かもしれません。

ひの
ひの

監査を受ける側にいたころ、往査に来た会計士の方に「この稟議、どういう議論だったんですか」と聞かれたことがあります。あのとき僕が答えた背景を、いまは自分で作る側にいる。そういう転職なんだと思います。

監査法人の側の働き方をもう一度確かめたい場合は『監査法人は激務?繁忙期の残業、BIG4と中小の違い、辞めどき』の記事にまとめています。

会計士の事業会社転職でよくある5つの失敗

会計士の事業会社転職でよくある5つの失敗

会計士の事業会社への転職でうまくいかなかったケースには、はっきりした型があります。

どれも入社する前に確認すれば避けられるものばかりでした。

【会計士転職5つの失敗】
①「経理」という職種名だけを見て入った
②一人経理の会社に、いきなり入った
③IPO準備の実態を確かめなかった
④年収だけで会社を選んだ
⑤監査法人を辞めることが目的になっていた

①『経理』という職種名だけを見て入った

中小企業の経理は、総務も労務も庶務も込みの何でも屋になっていることがあります。

会計士として決算と開示をやるつもりで入ったのに、社会保険の手続きや備品発注まで回ってくる。これは能力の問題ではなく、求人の中身を確かめなかっただけの話です。

ひの
ひの

総務の側にいる人間としては、なんでも屋の仕事にも意味はあると言いたいところですが、会計士の方に任せるのはもったいない。会社側も、たいてい後から気づきます。

②一人経理の会社に、いきなり入った

確認してくれる人がいない環境は、監査法人のレビュー文化に慣れた人にはこたえます。

自分の処理が合っているかを誰も見てくれない。休みも取りにくい。会計士なら一人でも回せるだろう、と会社側が期待しているぶん、相談もしづらくなります。

③IPO準備の実態を確かめなかった

IPO準備室は経験として濃い一方で、上場申請の時期が近いと、監査法人の繁忙期に近い負荷が続くことがあります。

しかも、上場が延期になることも珍しくありません。何を目的に入るのかを決めておかないと、延期の判断が出た瞬間に失敗感がでます。

④年収だけで会社を選んだ

提示額が高いポストには、たいてい理由があります。前任者が短期間で辞めている、業務範囲が広すぎる、決算が常に遅れている。

金額の裏側に何があるかは、面接で聞けば分かります。聞かずに入った人が、いちばん早く次を探し始めていました。

⑤監査法人を辞めることが目的になっていた

辞めたい気持ちが強いときほど、次を選ぶ基準が甘くなります。

このタイプで動いた人は、事業会社でも同じ不満を見つけてしまうことがあります。逃げ切ることと、選び直すことは別物です。

ひの
ひの

採用側で職歴を見ていると、辞めた理由そのものより、辞める前にどこまで比べたかが滲み出るんですよね。勢いで出た人と、比べたうえで選んだ人では、面接での言葉の強度がまるで違います。

この5つは、どれも「聞けば分かったこと」です。逆に言えば、聞ける相手を持たないまま応募すると、5分の1くらいの確率で踏みます。

前任者がなぜ辞めたのか。決算はいつも予定どおり終わっているのか。この2つは、応募者が直接聞きにくく、間に立つ人ほど正確に答えられる質問です。

上場・非上場・IPO準備で、事業会社の中身はまったく違う

上場・非上場・IPO準備で、事業会社の中身はまったく違う

同じ事業会社という言葉でも、上場区分が変わると別の職業と言っていいほど中身が変わります。ここを分けずに考えると、入ってからのギャップが大きくなります。

上場企業IPO準備企業非上場(中堅・中小)
決算の締切四半期ごとに厳格上場基準に合わせて構築中比較的ゆるやか
監査法人対応あり(重い)あり(構築の相談も)任意監査のみ、または無し
開示業務有価証券報告書、決算短信これから作るほぼ無し
会計士の使われ方開示・連結・監査対応の中核制度づくりの主役経理全般+管理部門
年収の傾向高め・安定ストックオプションの可能性会社によって幅が大きい
向いている人監査の型を活かしたいゼロから作るのが好き幅広く見たい

上場企業は、監査法人の経験がそのまま価値になる

四半期ごとに締切があり、監査法人が入り、開示書類を作る。この一連は監査法人にいた人にとって既知の世界です。

入った初日から会話が通じるという意味で、いちばん摩擦が少ない選択肢です。そのぶん、既に仕組みができあがっているので、作る楽しさは薄いかもしれません。

IPO準備企業は、作る側に回れるが賭けの要素がある

内部統制も開示体制も、これから作ります。会計士の知識が全方向で必要になり、経営陣との距離も近くなります。

ストックオプションが付く場合もありますが、上場が延期になれば価値は絵に描いた餅です。給与として受け取る部分で生活が成り立つかどうかを、先に確認してください。

ストックオプションを年収の一部として説明されたときは、行使価格と権利確定の条件、上場申請の予定時期まで必ず確認してください。ここを曖昧にしたまま入ると、あとから条件を交渉するのは非常に難しくなります。

非上場の中堅企業は、当たり外れの幅がいちばん大きい

落ち着いて働けて、幅広く経験を積める会社もあります。一方で、経理が一人しかいない、決算が毎年遅れている、という会社もあります。

この区分を選ぶときは、会社名や規模ではなく、経理部門が何人いて、月次がいつ締まっているかで判断したほうが確実です。

ひの
ひの

人件費を見ている側から言うと、経理が2人以下の会社は、1人辞めた瞬間に業務が止まります。そのリスクを会社が理解しているかどうかは、面接での答え方に出ますよ。

上場区分ごとの求人を並べてみると、同じ「経理」でも書かれている業務範囲がまるで違うことが見えてきます。

自分がどの区分に向いているかは、頭で考えるより、3つの区分の求人を横に置いて見比べたほうが早いです。

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会計士が事業会社に転職をするタイミング

会計士が事業会社に転職をするタイミング

監査法人の一年は決算スケジュールと連動しているので、転職で動きやすい時期とそうでない時期がはっきりしています。

時期転職活動のしやすさ注意点
1月〜3月しにくい。期中手続で時間が取りにくい面談の日程が組みづらい
4月〜5月最もしにくい。繁忙期の中心この時期の退職申し出は引き継ぎ負担が大きい
6月〜7月しやすい。繁忙期明けで区切りがつく退職者が集中するため社内調整は早めに
8月〜10月しやすい。四半期の合間で動きやすい年内入社を狙うならこの時期の着手が現実的
11月〜12月中程度事業会社側は年末調整と期末準備で面接が入りにくい

現実的には、繁忙期が明けた6月から秋にかけてが動きやすい時期です。

もうひとつ、事業会社側の事情も知っておくと有利になります。上場企業の経理が中途採用に本気になるのは、決算が落ち着いた時期と、期の変わり目に向けた増員を決めた時期です。

修了考査の前に動くときの注意

修了考査の受験に必要な実務経験の要件を満たせるかどうかは、転職先の業務内容によって変わります。資格の完成が遅れると、その後のキャリア全体に影響します。順番は自己判断せず、必ず事前に確認してください。

逆に、修了考査を終えた直後は、転職市場での見え方が一段変わるタイミングでもあります。ここで一度、外の評価を確かめておく人は多いです。

ひの
ひの

タイミングで悩んで動けなくなる人が多いのですが、情報を集める時期と、実際に動く時期は分けて大丈夫です。求人を見る、話を聞く、条件を確かめる。ここまでなら繁忙期でも少しずつ進められます。

いい求人ほど、時期に関係なく突然出て、すぐ埋まります。動く準備ができていない状態で見つけても、間に合いません。

先に無料登録だけ済ませて、条件に合う求人が出たときに連絡が来る状態を作っておく。これが、いちばん消耗しない進め方です。

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事業会社以外の選択肢と比べてから決める

事業会社以外の選択肢と比べてから決める

会計士は事業会社が唯一の出口ではありません。

比べたうえで事業会社を選んだ人と、比べずに選んだ人では、入社後の納得感がまるで違いました。

行き先得られるもの手放すもの向いている型
事業会社数字を作る側に回れる。年間の予定が立ちやすい監査という専門性の希少さ①②③⑤
FAS・コンサルM&Aや再生など、踏み込んだ関与ができる繁忙期の重さは残る場合がある①④
他の監査法人・中小監査法人監査を続けながら負荷やクライアント層を変えられる大手の看板と教育体制③
独立・開業裁量と収入の上限安定と、組織で学ぶ機会④
いまの法人に残る積み上げた評価と人間関係変化のきっかけ—

見落とされがちなのが、いちばん下の「残る」です。

外の条件を確かめたうえで残ると決めた人は、同じ職場でも顔つきが変わります。比べていない人だけが、なんとなく残って、なんとなく不満を溜めます。

ひの
ひの

うちに面接に来て、最終的に現職に残った会計士の方がいました。あとで聞いたら、提示額を持ち帰って上司に話したそうです。結果として社内で処遇が変わった、と。あれはあれで、正しい使い方だと思いました。

監査法人から動く場合の全体像は『監査法人への転職は難しい?未経験・資格なし・年収』の記事に、特定の法人の実態については『あずさ監査法人はやばい?辞めたい激務と言われる実態』の記事にまとめています。

会計士というキャリアそのものを迷っているなら『公認会計士はやめとけ?言われる7つの理由と本当の実態』の記事も参考になるはずです。

5つの選択肢のうち、どれが自分に向いているかは、求人を見比べないと決められません。事業会社の求人だけを見ていると、FASやコンサルの条件が分からないまま「なんとなく事業会社」になります。

ヒュープロは事業会社だけでなく、FASやコンサル、会計事務所、他の監査法人の求人も扱っています。監査法人から移った会計士の事例もまとめて持っているので、5つの選択肢を同じ場で比べられます。登録は無料です。

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面接・面談で必ず聞いておきたい6つのこと

面接・面談で必ず聞いておきたい6つのこと

採用側にいて思うのは、面接は会社から評価される場であると同時に、こちらを会社を評価してよい場でもあるということです。

【会計士が事業会社の面接で聞くべき6つ】
①経理部門は何人いて、そのうち有資格者は何人か
②月次はいつ締まっていて、直近1年で遅れたことはあるか
③この求人が出た理由と、前任者はどこへ行ったか
④入社1年目に、どこまで任せる想定か
⑤決算期の残業は、実際に何時間くらいになるか
⑥3年後にこのポジションがどうなっている想定か

とくに②と③です。

月次が遅れているかどうかは、その会社の管理体制がそのまま出ます。遅れが常態化している会社に入ると、入社後の数か月は火消しに費やされます。

③は聞きにくいと感じるかもしれませんが、答え方そのものが情報になります。前任者の異動先を具体的に答えられる会社と、言葉を濁す会社では、入ったあとの景色が変わります。

ひの
ひの

こういう質問をする候補者を面倒だと思う採用担当を、僕は見たことがありません。むしろ長く働く前提で考えてくれている、と受け取ります。聞かない人のほうが、実は心配になるんです。

④も効果的です。会計士を採る会社は、期待だけが先行していることがあります。1年目の想定を聞いておくと、入社後のギャップを先に潰せます。

事業会社に向いている会計士・向いていない会計士

事業会社に向いている会計士・向いていない会計士

ここまで読んで、自分はどちら寄りだと感じたでしょうか。数で決まるものではありませんが、迷っているときの物差しにはなります。

【事業会社に向いている会計士】
・数字が生まれる場面に立ち会いたい
・同じ会社を何年も見続けることに意味を感じる
・80点で期日に間に合わせる判断ができる
・会計以外の言葉を覚えることを面白がれる
・自分より詳しくない人に、噛み砕いて説明するのが苦にならない

【事業会社で苦しくなりやすい会計士】
・常に高い専門性の中に身を置いていたい
・レビューしてくれる先輩がいない環境が不安
・正確さを削る判断がどうしても受け入れられない
・短いサイクルで成果と評価が返ってこないと物足りない
・同じ会社の同じ数字を見続けるのが退屈に感じる

向いていない側に多く当てはまったとしても、会計士としての価値が下がるわけではありません。FASや他の監査法人など、その特性が強みになる場所はあります。

ひの
ひの

採用面接で「監査以外は経験がありません」と正直に言う方は、実はけっこう評価されます。自分の輪郭を分かっている人は、入ってからのミスマッチも起こしにくいので。

向き不向きは、自分の頭の中だけで判断しようとすると想像が混ざります。実際の求人に書かれた業務範囲と自分の適性を突き合わせたとき、初めて具体的になります。

会計士の事業会社転職についてよくある質問

Q1. 会計士が事業会社に転職すると、年収は下がりますか。

A. 一律には下がりません。入る席が担当者ポジションか課長候補か、会社が上場しているかどうかで大きく変わります。経理職全体の平均年収と比べると下がるように見えますが、その平均には無資格者も含まれるため、比較の対象として適切ではありません。

Q2. 監査法人には何年いてから動くのがいいですか。

A. 目安は修了考査を終えた3年目前後から、シニアスタッフの時期までです。この間に動く人がいちばん多く、事業会社側も採用しやすい層です。マネージャー以降は年収の折り合いを付けにくくなるため、選択肢は絞られます。

Q3. 事業会社の経理は、監査の経験だけで務まりますか。

A. 会計基準の知識は初日から通用します。詰まるのは会計以外の部分で、社内システムの操作、部署ごとの担当者、締切と正確さのどちらを優先するかの判断です。ここは3か月ほどで慣れる人が多いです。

Q4. 修了考査の前に転職しても大丈夫ですか。

A. 実務経験の要件を転職先で満たせるかどうかを、必ず事前に確認してください。要件を満たせない業務内容だと資格の完成が遅れ、その後のキャリア全体に影響します。ここは自己判断せず、法人と転職先の双方に確認する部分です。

Q5. 30代後半や40代でも事業会社に移れますか。

A. 監査経験のある会計士であれば可能です。ただし年齢が上がるほど、経理担当者としてではなく、管理職候補や内部監査といった形での採用が中心になります。何を任せられる人なのかを具体的に示せるかどうかが分かれ目です。

Q6. 一度事業会社に出たら、監査法人には戻れませんか。

A. 戻る人はいます。事業会社で決算を作った経験は監査でも評価されるため、出戻りが不利になるとは限りません。ただし、離れていた期間の基準改正には自分で追いつく必要があります。

Q7. 上場企業とIPO準備企業では、どちらがいいですか。

A. 目的によります。監査法人での経験をそのまま活かして安定して働きたいなら上場企業、制度をゼロから作る経験を積みたいならIPO準備企業です。IPO準備は上場が延期される可能性もあるため、給与だけで生活が成り立つかを先に確認してください。

Q8. 内部監査と経理では、どちらから入るのが有利ですか。

A. 事業会社の実務経験がない段階では、内部監査のほうが入りやすい傾向があります。やることが監査に近く、即戦力として見てもらいやすいためです。数字を作る側に回りたいのであれば、経理か経営企画を選ぶことになります。

Q9. 英語やUSCPAは、事業会社で評価されますか。

A. 海外子会社を持つ企業では強く評価されます。連結決算で海外子会社の数字を扱う場面や、海外の監査人とやり取りする場面があるためです。詳しくはUSCPAの転職!年収・転職先・難易度・未経験の始め方にまとめています。

Q10. 転職活動はいつ始めるのがいいですか。

A. 情報を集める時期と、実際に動く時期は分けて考えて問題ありません。求人を見て条件を確かめるところまでは繁忙期でも進められます。実際に面接を受けるのは、繁忙期が明けた6月以降が現実的です。

まとめ

長い記事になったので、大事なところだけ。

【この記事のまとめ】

・事業会社を選ぶきっかけは5つに分かれる。自分の型と求人の中身が噛み合っていないと、半年で同じ不満に戻る

・座る席は6種類あり、経理・財務・経営企画・内部監査・IPO準備・CFO候補で仕事も年収もまったく違う

・年収は一律に下がらない。決めるのは資格ではなく、その席がいくらの席かと、何を引き取れると示せるか

・入って詰まるのは会計の知識ではなく、その会社の地図を持っていないこと

・上場・IPO準備・非上場で中身は別世界。区分を決めずに探すと必ずずれる

・事業会社以外の選択肢と比べたうえで選んだ人だけが、入社後に納得している

もしいま監査法人にいて転職を迷っているなら、次にやることは一つだけです。

辞めるかどうかを決める前に、いまの職歴に事業会社がいくらの値を付けるのかを確かめること。その数字を見たうえで残るという判断も、堂々とできるようになります。

僕が見てきた範囲では、動いた人も残った人も、確かめた人は後悔していませんでした。後悔していたのは、確かめないまま何年も迷い続けた人のほうです。

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関連記事として、監査法人からの転職の全体像は『監査法人への転職は難しい?未経験・資格なし・年収』の記事、法人ごとの違いは『四大監査法人はどこがいい?BIG4の規模・年収・社風』の記事、事業会社側の年収水準は『経理の年収は低い?年代別・役職別の平均と年収アップの方法』の記事にまとめています。

ひの
ひの

迎える側から言えるのは、監査を経験した人が来てくれるだけで、経理部の空気は変わるということです。あとは、あなたがどのポストに座りたいかだけです。

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