「監査法人トーマツ やばい」
その言葉で出てきたページを、たぶん半分も読まずに閉じたのではないでしょうか。
監査法人の話とコンサルの話が混ざっていて、どれが自分の行き先の話なのか分からないからです。
僕はひのと言います。
社会保険労務士をしながら、本業では会社の管理部門で給与計算と人件費の管理を担当しています。僕は公認会計士ではありませんし、監査法人で働いた経験もありません。

ただ、トーマツの名刺なら3種類受け取ったことがあります。有限責任監査法人トーマツ、デロイトトーマツコンサルティング、デロイトトーマツファイナンシャルアドバイザリー。ロゴは同じで、会社が違って、請求書の宛名も単価も別でした。
【各トーマツの違い】
・往査に来るのが監査法人トーマツ
・決算の早期化を提案しに来るのがコンサル
・M&Aの話を持ってくるのがファイナンシャルアドバイザリー
です。
僕のように支払う側にいると、この3つがまったく別の会社だと嫌でも分かります。ところが外から見ていると、全部まとめて「トーマツ」に見えます。
口コミが噛み合わないのも、評判が人によって真逆になるのも、かなりの部分がここから来ています。
この4つの数字が、そのまま「やばい」と言われる中身につながっています。
【この記事でわかること】
・監査法人トーマツが『やばい』と言われる5つの理由と、その中身
・トーマツがBIG4でいちばん広く張っている理由
・デロイトトーマツグループと監査法人トーマツの違い
・繁忙期、離職率、年収の目安と、BIG4のなかでの立ち位置
・向いている人と向いていない人、面接で聞くべき6つ、辞めた人の行き先

数字で言えることと、言えないことははっきり分けて記事を書きたいと思います。
ひとつ先に言わせてください。この記事を最後まで読んでも、あなたの経歴にいくらの提示が出るのかは分かりません。
それが分かるのは、いま実際に会計士へ求人を出している会社と話したときだけです。
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- この記事の執筆者の信頼性
- 監査法人トーマツが『やばい』と言われる5つの理由
- 【最新】監査法人トーマツの業務収入は1,425億円
- データで見る監査法人トーマツの規模
- 監査法人トーマツはBIG4で最も大企業に寄り
- デロイトトーマツグループと監査法人トーマツは別の会社です
- 監査法人トーマツの繁忙期はいつ来るのか?
- 監査法人トーマツの離職率と、辞めたくなる人
- 監査法人トーマツに入る難易度と年収の目安
- BIG4のなかでの監査法人トーマツの立ち位置
- 監査法人トーマツに向いている人と向いていない人
- 監査法人トーマツの面接で聞いておきたい6つのこと
- 監査法人トーマツを辞めた人が向かう3つの転職先
- 監査法人トーマツの残業と36協定の上限
- 監査法人トーマツで3年働くと、何が残るのか
- 監査法人トーマツについてよくある質問
- まとめ
この記事の執筆者の信頼性

僕はひのと言います。
【主な保有資格】
社会保険労務士(全国社会保険労務士会連合会 登録)
ファイナンシャルプランナー2級(日本FP協会 登録)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 本業 | 事業会社の管理部門(給与計算・社会保険事務・人件費管理) |
| 監査法人との関わり | 被監査会社側として決算ごとに証憑を用意し、往査に対応 |
| コンサルとの関わり | デューデリジェンスや決算早期化の案件で、発注し支払う側 |
| 採用との関わり | 中途採用に同席し、会計士の職務経歴書を読む側 |
| 資格 | 社会保険労務士(令和元年合格・3回受験)、FP2級 |
| 書けないこと | 監査法人内部の人事評価や査定、特定個人の評判 |
僕は監査法人トーマツの中で働いたことはないので、法人内部の評価や査定の話はできません。
この記事の数字は、すべて有限責任監査法人トーマツが公認会計士法にもとづいて公開している「業務及び財産の状況に関する説明書類」と、デロイトトーマツグループの公式サイトで確認しています。

往査に来た会計士の方に「いま何社くらい抱えているんですか」と聞くのが、僕の癖でした。日程を決めるときに、その答えで返信の速さがだいたい読めるからです。
監査法人トーマツが『やばい』と言われる5つの理由

「トーマツ やばい」という検索の裏側には、意味の違う5つが同じ言葉に押し込まれています。
どれを気にしているのかで、この先の読み方が変わります。
トーマツがやばい理由① デロイトのコンサルと混ざって、実態がつかめない
これがいちばん多い誤解です。
検索結果に出てくる「トーマツはやばい」の多くは、デロイトトーマツコンサルティングの話です。監査法人トーマツとは別の会社で、仕事も評価テーブルも違います。
コンサルの残業時間の口コミを読んで監査法人を辞退する人がいて、逆に監査法人の落ち着いた口コミを読んでコンサルに入る人がいます。

うちに来ていたトーマツの3社は、担当者の雰囲気からして別物でした。同じロゴでも中の人は入れ替わりません。監査の人がコンサルの案件に出てくることは、基本的にありませんでした。
トーマツがやばい理由② 拠点17か所。転勤の可能性がいちばん高い
監査法人トーマツの事務所は、説明書類から17か所となっています。
EY新日本16か所、あずさ12か所、PwC Japan5か所。BIG4のなかで最も広く拠点を張っているのがトーマツです。
商圏が広いということは、行きたい土地で働ける可能性があるのと同時に、行きたくない土地に動かされる可能性もあるということです。

家庭の事情で動けない人にとっては、拠点が多いことがそのまま不安になります。ここは規模が大きいほど有利、が通じない数少ない項目です。
トーマツがやばい理由③ 上場大企業のクライアントが多い
トーマツの被監査会社3,215社のうち、大会社等は1,058社です。
あずさは3,255社のうち954社。大会社等の内訳を公表している法人のなかでは、トーマツがいちばん多く抱えています。
大会社等は会計監査人の設置が義務づけられる規模の会社で、監査の手続も報告の期限も重くなります。社数が同じでも、中身が重いほうに寄っているということです。

被監査側にいると、往査の人数でクライアントの重さが分かります。3人で来る年と7人で来る年では、こちらの拘束時間も倍以上違いました。
トーマツがやばい理由④ 非監査業務が4分の1を占める
トーマツは第58期の業務収入129,788百万円のうち、非監査証明業務が34,006百万円。比率にして26.2%です。
PwC Japanの51.3%に次いでBIG4の2位で、あずさ24.6%、EY新日本19.2%を上回ります。監査だけをやるつもりで入っても、周りにかなりの数の非監査の案件が転がっている状態になります。
これを良い機会と取るか、余計な仕事と取るかで「やばい」の意味が逆になります。
トーマツがやばい理由⑤ 法人が伸びていて、中の変化が読めない
第59期の業務収入は142,548百万円で、前期から9.8%増えています。
伸びている法人は、案件も人も増えます。増えた案件に人の育成が追いつくかどうかは、外からは見えません。
ここでの「やばい」は、法人が危ないという意味ではありません。自分が入る部署がどの状態にあるのか読めない、という不安に近いです。

同じ『やばい』でも、①と③ではまったく別のことを言っています。自分がどれを気にしているのかを決めてしまうと、ここから先の読み方がずいぶん変わりますよ。
トーマツでは、配属される事務所と事業部で程度が変わります。法人全体の平均を何時間読んでも、自分が座るポジションの話は出てきません。それを知っているのは、いまその法人へ人を送り込んでいる人だけです。
監査法人の転職に特化したエージェントである「ヒュープロ」の担当者に聞いてみるのも1つの手段です。
会計士・税理士に特化した転職エージェントである「ヒュープロ」なら、BIG4それぞれの事業部ごとの募集状況や、直近の異動・退職の傾向まで把握しているので、口コミでは出てこない配属先の実態を確かめられます。登録は無料で、相談だけで終わってもかまいません。
【最新】監査法人トーマツの業務収入は1,425億円

監査法人トーマツの第59期(2025年6月1日から2026年5月31日)の業務収入は142,548百万円でした。
| 区分 | 第58期(2025年5月期) | 第59期(2026年5月期) |
|---|---|---|
| 監査証明業務 | 95,782百万円 | 104,615百万円 |
| 非監査証明業務 | 34,006百万円 | 37,933百万円 |
| 業務収入 合計 | 129,788百万円 | 142,548百万円 |
金額にして12,760百万円、率にして9.8%の増加です。監査証明業務が9.2%、非監査証明業務が11.5%。非監査のほうが伸び率は高くなっています。

発注する側から見ると、単価が上がったのか件数が増えたのかは請求書では分かりません。ただ、案件が増えている法人は担当者の入れ替わりが速くなります。これは経験的にほぼ当たります。
トーマツなどの伸びている法人に入るということ
業務収入が1年で9.8%増えるというのは、事業会社の管理部門の僕から見ると相当な伸びです。人件費を見ている立場から言うと、売上が1割増える年は、採用と教育が必ず後ろにずれます。
先に案件が増えて、あとから人が入る。そのあいだの数か月は、いまいる人が忙しくなります。これは入るタイミングによって、受け取る景色がまったく変わるということでもあります。
データで見る監査法人トーマツの規模

口コミを読む前に、この法人がどれくらいの大きさなのかを知っておくと、見え方がかなり変わります。デロイトトーマツグループの公式サイトに、人員の内訳が区分ごとに出ています。
公認会計士は、社員453名と職員2,402名を合わせて2,855名です。試験合格者等1,130名を足すと3,985名で、総人員の6割を超えます。
残りはその他専門職2,149名と事務職82名。ITや税務の専門家、監査補助のスタッフがここに入ります。

6,000人を超える組織になると、同じ法人名でも事務所とクライアント次第で見える景色がまるで違います。『トーマツはやばい』が当たっているかどうかは、どの事業部の話をしているかで決まってしまうんですよね。
監査法人トーマツの被監査会社は3,215社
監査関与会社は3,215社です(2025年5月末日現在)。
| 区分 | 会社数 |
|---|---|
| 金融商品取引法及び会社法に基づく監査 | 764社 |
| 金融商品取引法に基づく監査 | 6社 |
| 会社法に基づく監査 | 1,116社 |
| 学校法人に対する監査 | 66社 |
| 労働組合に対する監査 | 19社 |
| その他の法定監査 | 626社 |
| 法定監査以外の監査 | 618社 |
| 合計 | 3,215社 |
上場会社まわりの仕事量にあたるのが、上の2区分を合わせた770社です。一方で会社法監査1,116社、その他の法定監査626社、任意監査618社と、上場以外の幅も広いのが読み取れます。
学校法人66社と労働組合19社まで入っています。

配属されるクライアントによって、身につくものが変わります。上場会社の連結だけを見る人と、学校法人と中堅企業を回る人では、3年後の職務経歴書が別物になりますよ。
上場まわりの仕事量は770社。BIG4で2番目
7区分のうち、上の2つを合わせた数がおおよその上場会社まわりの仕事量になります。トーマツは764社と6社で770社。
EY新日本の857社に次ぐ2番目で、あずさの653社を上回ります。ここにもトーマツの大企業への寄り方が出ています。

上場会社の監査は、期限が法律で決まっています。動かせない締切がある仕事を何社も持つと、その分だけ予定が固まっていきます。
この幅の広さは、場数を早く踏みたい人には武器になります。逆に、上場会社の連結だけを深く見たい人には、配属の運に左右される要素が増えることになります。
監査法人トーマツはBIG4で最も大企業に寄り

社数だけを並べると、BIG4はどこも3,000社前後で似たように見えます。差が出るのは、その中身のほうです。
| 法人 | 被監査会社 | うち大会社等 | 大会社等の比率 |
|---|---|---|---|
| トーマツ | 3,215社 | 1,058社 | 32.9% |
| あずさ | 3,255社 | 954社 | 29.3% |
| EY新日本 | 3,805社 | 公表なし | ― |
| PwC Japan | 1,447社 | 322社 | 22.3% |
大会社等が多いということは、監査の手続も、報告までの期限も、重いほうに寄っているということです。
同じ1社でも、上場企業の連結と非上場の会社法監査では、投入する時間が桁違いになります。

受ける側から言うと、大きい会社の監査ほど質問の数が増えます。子会社が20社あれば、20社分の確認が来る。担当する側の負荷も、そのまま比例します。
1人あたりで割ると、トーマツは真ん中より下
では社員の負荷そのものはどうなのか。被監査会社数を公認会計士の人数で割ると、法人全体の案件の密度が見えてきます。
トーマツは1人あたり1.18社でBIG4の3番目。あずさの1人あたり1.08社より多く、EY新日本の1人あたり1.24社より少ない位置です。
つまりトーマツの重さは、社数の多さではなく中身の重さから来ています。1,058社の大会社等を2,855名の公認会計士で見ている、という構造です。

人数で割った平均は、どの法人もそれほど変わりません。効いてくるのは、あなたが配属される事業部が何人で何社を持っているか。ここだけは面接で聞くしかないんです。
中小・準大手まで含めた1人あたりのランキングは中小監査法人ランキングの記事に、8法人ぶんまとめています。
デロイトトーマツグループと監査法人トーマツは別の会社です

「デロイトトーマツ」は、複数の法人が集まったグループの名前です。
監査を担当しているのが有限責任監査法人トーマツで、コンサルティングや財務アドバイザリーは別の会社が担当しています。
| 会社 | 主な仕事 | 会計士から見た位置づけ |
|---|---|---|
| 有限責任監査法人トーマツ | 会計監査、IPO支援、内部統制監査 | 公認会計士の主戦場。 この記事の対象 |
| デロイトトーマツコンサルティング | 経営戦略、業務改革、IT導入 | 会計士も入るが、監査とは別採用 |
| デロイトトーマツファイナンシャルアドバイザリー | M&A、デューデリジェンス、企業再生 | 監査から移る人が多い行き先 |
| デロイトトーマツ税理士法人 | 税務申告、税務アドバイザリー | 税理士・会計士の税務キャリア |

うちに来た3社は、契約書も請求書も別々でした。同じ打ち合わせに監査の人とコンサルの人が同席したことは一度もありません。独立性の関係で、そもそも同席できない場面もあります。
トーマツの口コミが混ざる仕組み
口コミサイトは会社ごとに分かれているのに、検索結果とSNSでは混ざります。
「デロイトは激務」という投稿の多くはコンサル側の話で、監査法人の繁忙期とは山の形が違います。コンサルの忙しさは案件が入った瞬間に来ますが、監査の忙しさは決算期に決まった形で来ます。
この3つが特定できない口コミは、参考程度に置いておくのが安全です。

採用に関わっていると、口コミの点数を見て辞退した人が、あとで同じ会社に応募し直してくる場面があります。他人の体験は、あくまで他人の配属先での話なんですよね。
トーマツの口コミで繰り返し出てくる3つの話
投稿を数多く読んでいくと、同じ話が何度も出てきます。
どれも公表資料では確かめられないので、事実としてではなく、面接で確かめる項目として扱ってください。
①は、コロナ以降どの法人でも揺れている論点です。往査そのものは現地に行く仕事なので、監査法人は完全リモートにはなりません。
②は、規模が大きく案件が増えている法人ではどこでも起きます。第59期に業務収入が9.8%伸びたという事実は、この話と噛み合っています。
③は、6,241名という組織の大きさが背景にあります。母数が多いほど、上のポジションにいくまでの競争は長くなります。

口コミの点数そのものは、書いた人がいつどの事務所にいたかで簡単に上下します。ただ「何が起きているか」の記述は、たいてい公表されている数字と噛み合っています。
だから点数ではなく、本文を数字と突き合わせながら読むほうが役に立ちます。
数字で説明のつかない口コミは、その人固有の事情である可能性が高い。上司との相性の話を法人全体の話として受け取ると、判断を誤ります。
トーマツはグループ内で移れるのは、実は大きい
監査法人トーマツに入ると、監査からファイナンシャルアドバイザリーへ、あるいは税理士法人へ。転職ではなくグループ内の移動で領域を変えられる可能性があります。
外に出るより摩擦が小さく、監査で積んだ実務経験の扱いも相談しやすい。

FAの担当者に「前は監査にいました」という方が本当に多いです。数字の異常に気づく速さが違うので、あれは移って正解だったんだろうなと思います。
グループ内で移れるかどうかは、募集が出ているかどうかで決まります。そして、その募集は求人サイトには出てきません。
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監査法人トーマツの繁忙期はいつ来るのか?

年間の平均ではなく、山と谷の落差で見たほうが実態に近づきます。
3月決算の会社が多い日本では、4月から5月に全監査法人の負荷がピークになります。監査法人は年中ずっと忙しいのではなく、2か月に極端に寄っている。これが監査法人の働き方の本質です。

人件費を見ていると、残業が多い部署ほど「山が読めているか」で消耗度が変わるのが分かります。決まった時期に決まった山が来るなら、人はわりと耐えられる。読めない残業のほうが、きついです。
トーマツだけは、法人自身の決算も5月末に来ます
監査法人にも自分の決算があります。トーマツの事業年度は6月1日から翌年5月31日です。つまりクライアントの期末監査がいちばん重い4月から5月に、法人自身の期末も重なります。
人事評価や人員配置の切り替えも、この時期を軸に動くことになります。

被監査側にいたころ、担当変更の連絡が届くのは6月前後が圧倒的に多かったです。法人側の区切りも、やはりこのあたりにあるのだと思います。
| 時期 | 監査法人側の動き | 被監査側から見えた様子 |
|---|---|---|
| 1月〜2月 | 期中手続、四半期レビュー | 日程調整がしやすい。返信も早い |
| 3月 | 期末監査の準備、往査計画の確定 | 資料依頼のリストが届き始める |
| 4月〜5月 | 期末監査の山。法人自身の期末も重なる | 夜と土曜に連絡が来る。日程が動かせない |
| 6月 | 監査報告書、株主総会対応、期の区切り | 担当変更の連絡が届く |
| 7月〜8月 | 閑散期。研修と有給 | 平日の昼で打ち合わせが決まる |
| 9月〜12月 | 四半期レビュー、期中手続 | 落ち着いているが、年末は再び詰まる |
監査法人全体の激務度と残業の目安は監査法人は激務?繁忙期の残業、BIG4と中小の違い、辞めどきの記事にまとめています。
転職して動く時期の決め方は公認会計士が監査法人から転職するタイミングはいつ?の記事が具体的です。
監査法人トーマツの離職率と、辞めたくなる人

監査法人トーマツが離職率を単独で公表している一次資料は、確認できませんでした。
では何も分からないのかというと、そうではありません。会計士が監査法人を離れる理由は、構造としてかなりはっきりしています。
公認会計士のキャリアは、出ることが前提で作られています
公認会計士試験に合格した人の多くは、まず監査法人に入ります。実務経験を積み、修了考査を通って公認会計士として登録する。ここまでが共通ルートです。
その先には、事業会社の経理・財務、FASやコンサル、独立開業と、出口が色々とあります。
トーマツを辞める人が多いのは、労働環境が悪いからだけではありません。出口が豊富だからでもあります。

去年まで一緒に論点を詰めた担当者が、翌年の名簿から消えている。あれを見るたびに、僕は『あの人はいまどこにいるんだろう』と考えていました。
監査法人トーマツで辞めたくなる3つのケース
①なら、環境を変えるより担当を変えるほうが早く効くことがあります。②と③は、転職したほうが解決します。
自分がどれなのかを見分けないまま動くと、次の職場で同じことが起こります。
「これをあと何年やるのか」
会計士の転職相談が7月から8月に増えるのは、そういう理由によります。辞めた会計士がいまどこで何をして、いくら受け取っているのか。
それを知っているのは、実際に会計士の転職を成立させている人たちです。監査法人の転職に特化したエージェントである「ヒュープロ」の担当者に聞いてみるのも1つの手段です。
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監査法人トーマツに入る難易度と年収の目安

監査法人トーマツの難易度は、入社するときと退社するときで別物です。
監査法人トーマツに入社する難易度 ~公認会計士試験という関門~
トーマツの定期採用の中心は公認会計士試験の合格です。
公認会計士の令和7年の合格率は7.4%、合格者は1,636名
この数字がそのままトーマツの入口の狭さになります。一方で中途採用では、IT監査や内部統制、アドバイザリー、コーポレート職といった枠もあります。
総人員6,241名のうち、その他専門職が2,149名、事務職が82名。会計士以外の入口が存在するのは、この数字からも分かります。

無資格からの正面突破は簡単ではありませんが、入口が1つしかないわけでもありません。IT監査は、事業会社の情報システム部門から移る人もいます。
監査法人トーマツから退社する難易度 ~転職市場からは歓迎されます~
採用側の実感として、トーマツのような大手監査法人出身という職歴は書類の段階でまず通ります。
この3つは、事業会社の経理でもFASでも共通して欲しがられます。入社するのは難しいが、出るときは選べる側に回りやすい。これがBIG4のキャリア上の価値です。
監査法人トーマツの年収目安
法人別の年収を公表している一次資料はありません。BIG4の目安として、役職別のレンジが公開情報から整理されています。
| 区分 | 目安 |
|---|---|
| 公認会計士・税理士の平均年収 | 約797万円 |
| 監査法人以外で働く会計士の平均年収 | 約960万円 |
| 経理職全体の平均年収 | 約427万円 |
事業会社に移ると平均値だけ見れば下がるように見えますが、これは無資格者も含む経理職全体の平均です。会計士資格を持って上場企業の経理や経営企画に入る場合の水準とは別物になります。

人件費を見ている側から言うと、資格と実務経験がそろっている人の提示額は、社内の等級表を飛び越えることがあります。平均年収だけ見て諦めるのは、正直もったいない。
役職別・年代別の詳細は監査法人の年収は高い?役職別・BIG4別・年代別の実態の記事にまとめています。
公認会計士には修了考査という、もうひとつの関門があります
トーマツに入所したあとに待っているのが修了考査です。
実務経験と実務補習を積んだうえで受け、通ってはじめて公認会計士として登録できます。総人員の内訳で「公認会計士2,402名」と「試験合格者等1,130名」が分けて書かれているのは、この線引きがあるからです。
入所直後の数年は、繁忙期を回しながら修了考査の準備もする期間になります。

入所2〜3年目の年収を見て「思ったより低い」と判断するのは早いです。修了考査後に一段上がるのが一般的な形ですから。
額面が同じでも、それを何時間で受け取るかで実質はまるで変わります。自分の経歴にいまいくらの提示が出るのかは、求人を見れば分かります。
監査法人に特化したヒュープロでぜひ求人を確認してみてください。(登録は無料)
会計士・税理士に特化した転職エージェントである「ヒュープロ」なら、担当者が会計士の年次ごとの相場を把握しているので、いまの職位と経験で応募できる求人と想定年収を教えてもらえます。登録は無料で約1分、残ると決めた場合でも社内で交渉する材料になります。
BIG4のなかでの監査法人トーマツの立ち位置

トーマツを選ぶか迷っている人の多くは、実際にはBIG4のどこかと比べているのではないでしょうか。
| 法人 | 業務収入 | 被監査会社 | 公認会計士 | 拠点 |
|---|---|---|---|---|
| あずさ | 1,314億円 | 3,255社 | 3,011名 | 12か所 |
| トーマツ | 1,298億円 | 3,215社 | 2,714名 | 17か所 |
| EY新日本 | 1,229億円 | 3,805社 | 3,061名 | 16か所 |
| PwC Japan | 842億円 | 1,447社 | 1,253名 | 5か所 |
上位3法人はほぼ横並びで、PwC Japanだけ規模が異なります。
トーマツの特徴は、収入でも社数でもなく、拠点17か所と大会社等1,058社という広がり方のほうにあります。
| 法人 | 母体 | 語られやすい特徴 |
|---|---|---|
| あずさ | KPMG | 金融に強い。堅実と言われることが多い |
| トーマツ | デロイト | 拠点が多く地方も広い。非監査とグループ会社が近い |
| EY新日本 | EY | 被監査会社数が最多。幅広い業種 |
| PwC Japan | PwC | 非監査が過半。総合ファームに近い収益構造 |

法人名で選んだ人ほど、入ってから「思っていたのと違う」と言いがちです。逆に、事業部とクライアントで選んだ人は、多少きつくても納得して続けている。僕の見てきた範囲では、そういう差がはっきり出ています。
個別の法人については、あずさ監査法人はやばい?と新日本監査法人はやばい?の記事に、同じ物差しで数字を並べてあります。
4法人の比較は四大監査法人はどこがいい?BIG4の規模・年収・社風の記事が入口になります。
パンフレットに並ぶ言葉は、どこの監査法人も驚くほど似ています。違いが出るのは、いま実際に募集している職種と条件のほうです。
管理部門・士業の転職に強い「MS-Japan」なら、BIG4から準大手・中小監査法人まで横断で求人を扱っているので、4法人の提示条件を同じ画面で見比べられます。登録は無料・全国対応で、管理部門と士業の求人数は業界最大級です。
監査法人トーマツに向いている人と向いていない人

ここまでの数字を踏まえて、自分はどちら寄りだと感じたでしょうか。
向いていない側にチェックが多くても、あなたの会計の知識が無駄になるわけではありません。1社を深く見たい人は、準大手や中小監査法人のほうが合います。
勤務地を固定したい人は、拠点の少ない法人を選ぶほうが確実です。

向き不向きは能力の話ではなく、環境との噛み合わせの話です。同じ人が、法人を変えただけで評価が変わる場面を何度も見てきました。
準大手・中小の選び方は中小監査法人ランキングの記事に、大手準大手の8法人の数字を並べています。
監査法人トーマツの面接で聞いておきたい6つのこと

採用側にいて思うのは、面接は評価される場であると同時に、こちらが相手を評価してよい場でもあるということです。
とくに①と②です。
拠点17か所という数字は、あなたの生活にいちばん直結する項目になります。④も大事です。1人あたり1.18社という数字は法人全体の平均なので、現場の実数は面接で聞くしかありません。

こういう質問をする候補者を面倒だと思う採用担当を、僕は見たことがありません。むしろ長く働く前提で考えてくれている、と受け取ります。
| 面接で聞いたこと | 返ってきた答えの読み方 |
|---|---|
| 配属事務所 | 即答できる=枠が決まっている。 濁す=調整中か、複数候補 |
| 転勤の頻度 | 実績を年数で答えられる法人は、制度が動いている |
| 決算月の分布 | 3月に偏っているほど、4〜5月の山が高くなる |
| 1チームの人数 | 人数と社数を両方言える人は、現場を把握している |
| 非監査の関与 | 「希望次第」で終わるなら、実際は案件次第ということ |
| 3年目の仕事 | 具体的に語れないなら、育ち方も抽象的になります |
この6つを聞いて、全部にすらすら答えが返ってくるなら、その現場の状況を把握しています。どれかひとつでも濁されたら、それは入ったあとに自分で確かめるしかないということです。
監査法人トーマツを辞めた人が向かう3つの転職先


往査に行くと、去年と名刺の肩書きが変わっている人に会います。監査法人側にも、被監査会社側にも、それは起きます。
6,241名の組織なので、毎年それなりの人数が動きます。転職してトーマツから出ていく先は、大きく3つに分かれます。
1.事業会社の経理・経営企画
いちばん人数が多い行き先です。
監査する側から、監査される側に回ります。決算を「見る」仕事から「作る」仕事に変わるので、最初の半年は別の職種に移ったのとほとんど同じ感覚になります。
往査で会った経理部長が、元・監査法人という会社は珍しくありません。
事業会社に移ったあと何が起きるかは会計士が事業会社に転職すると年収は下がる?の記事に詳しく書いています。
2.FAS・コンサル
M&Aのデューデリジェンス、バリュエーション、企業再生。
監査で身につけた財務諸表の読み方をそのまま持ち込めます。トーマツの場合、グループ内にデロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリーがあるのが大きい。
外に出ずに領域だけを変えるという選択肢が、他の法人より近いところにあります。
ただし繁忙期の形が変わるだけで、忙しさそのものは消えません。監査の山は3月と5月に来ますが、FASの山は案件が入った瞬間に来ます。

デューデリジェンスで来た会計士の方は、こちらが出した資料の不備を的確に突いてきました。あの技術はそのまま監査で培ったものです。だからFASは、移ってすぐ戦力になれるんですよね。
3.他の監査法人・独立
監査という仕事自体は嫌いではないけれど、クライアントの規模や進め方を変えたい。その場合は法人を移るだけで解決することがあります。
中小監査法人では1人が担当する範囲が広く、若いうちから全体を見られる環境もあります。
独立は、収入の振れ幅がいちばん大きく、上限もありません。
| 行き先 | 増えるもの | 減るもの | 向いている人 |
|---|---|---|---|
| 事業会社の経理・経営企画 | 予定が立つ生活、数字を作る手応え | 担当社数の多様さ、監査の専門性の伸び | 1社を最後まで見届けたい人 |
| FAS・コンサル | 案件の幅、意思決定への距離の近さ | 年間スケジュールの読みやすさ | 踏み込んで提案したい人 |
| 他の監査法人 | 担当の幅、若いうちの裁量 | 大手の看板と研修体制 | 監査は続けたい人 |
| 独立 | 裁量と収入の上限 | 安定した給与と組織の後ろ盾 | 営業から自分でやりたい人 |
監査法人の中にいると、外の求人がどうなっているかが本当に見えません。往査先の経理部が何人体制で、どんな人を探しているか、監査調書には書いていません。
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監査法人トーマツの残業と36協定の上限

繁忙期の残業について、口コミの数字を並べても答えは出ません。投稿した人の職位も事務所も分からないからです。
かわりに制度の側から見ると、線がどこにあるのかははっきりしています。ここは僕の本職です。
日本の時間外労働の上限は、法律で決まっています
労働基準法では、時間外労働の上限が定められています。
原則は月45時間・年360時間。これを超えて働かせるには、36協定に特別条項を付ける必要があります。特別条項を付けた場合でも、超えられない線があります。
【時間外労働の上限(労働基準法)】
・原則:月45時間、年360時間
・特別条項を付けた場合でも、年720時間以内
・時間外と休日労働の合計で、単月100時間未満
・時間外と休日労働の合計で、複数月の平均80時間以内
・月45時間を超えられるのは、年6か月まで
監査法人の繁忙期が4月と5月の2か月に寄っているのは、この「年6か月まで」とも関係があります。山を2か月に集中させれば、残りの10か月は原則の枠内で回せるからです。

給与計算をしている側から言うと、36協定の特別条項をどう設計しているかで、その会社の働き方はだいたい読めます。年6回を使い切る前提の会社と、2回で収める会社では別物です。
繁忙期の2か月に、実際に何が起きているか
単月100時間未満という線は、1か月で見ると相当な量です。
月20日勤務なら、1日あたり5時間の時間外。定時が18時なら23時前後まで、という計算になります。複数月平均80時間以内という条件もあるので、4月と5月を両方100時間近くにすることはできません。
どこかで落とす必要があり、そのぶんが6月以降の調整に回ります。
面接で36協定を聞くと、何が分かるか
36協定は、事業場ごとに労使で結んで労働基準監督署に届け出るものです。つまり事務所ごとに内容が違う可能性があります。
3つ目のみなし残業は、額面の見え方を大きく変えます。
同じ年収600万円でも、45時間ぶんが含まれているのと、20時間ぶんなのとでは、時間あたりの単価が変わります。
| 確認する場所 | どこで見るか | 何が分かるか |
|---|---|---|
| 36協定の特別条項 | 面接で質問する | 繁忙期をどれくらいの長さで想定しているか |
| みなし残業の時間数 | 求人票と労働条件通知書 | 額面のうち何時間ぶんが残業代か |
| 事業部の平均残業 | 面接で質問する | 法人平均ではなく自分の現場の実数 |
| 有給の取得実績 | 面接で質問する | 閑散期に休みが取れる体制かどうか |
求人票のレンジは、法人ごとに非公開のことが多く、検索しても出てきません。ここだけは、その法人の採用を実際に扱っている担当者に聞くのが最短です。
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監査法人トーマツで3年働くと、何が残るのか

「やばい」と言われる環境に3年いて、手元には何が残るのでしょうか。トーマツは総人員6,241名のうち、公認会計士が2,855名、試験合格者等が1,130名です。
入所直後は公認会計士試験合格者等の側にいて、3年かけて資格者の側へ移っていきます。
| 3年で残るもの | どういう形で残るか |
|---|---|
| 大会社等の監査経験 | 連結、開示、内部統制。 事業会社の経理で即戦力になる部分 |
| 期日に対する規律 | 決まった日までに成果物を出す訓練。 どの職種でも効く |
| 複数業種の内側を見た経験 | トーマツは業種の幅が広い。 3年で3業種は珍しくない |
| 大手監査法人出身という職歴 | 書類選考の通過率がはっきり変わる |
| 公認会計士の登録 | 修了考査を通れば、応募できる求人の母数が跳ね上がる |
| 3年では残りにくいもの | なぜ残らないか |
|---|---|
| 数字を作る力 | 監査は確かめる仕事で、作る場面には立ち会わない |
| 事業の意思決定の経験 | 独立性の制約があり、踏み込めない |
| 1社を長く見続けた深さ | 担当が替わるため、結末まで見届けにくい |
| 社内調整の技術 | クライアントの中の力学には関われない |

残らないほうに書いたものは、事業会社に移れば全部手に入ります。逆に、残るほうに書いたものは、事業会社では3年かかっても身につきません。だから順番として、監査法人が先なんだと思います。
監査法人トーマツについてよくある質問
まとめ
長い記事になったので、大事なところだけまとめます。
【この記事のまとめ】
・「トーマツがやばい」の多くは、デロイトのコンサルの話と混ざっている
・第59期の業務収入は1,425億円。前期から9.8%増
・被監査会社3,215社のうち大会社等1,058社。内訳を公表している法人のなかで最多
・拠点17か所はBIG4最多。転勤の可能性が最も広い法人でもある
・非監査証明業務は26.2%でBIG4の2位。監査以外の案件が近い
・1人あたりの被監査会社数は1.18社でBIG4の3番目。突出して重いわけではない
・離職率の公表資料は存在しない。数字より、辞める人が多い構造を理解するほうが役に立つ
もしいま入るか迷っているなら、あるいは中にいて動くか迷っているなら、次にやることは一つです。
法人の評判を読み続けるのをやめて、いま募集している求人と、そこで自分に出る条件を確かめること。ここが分からないまま考え続けても、答えは出ません。
会計士・税理士に特化した転職エージェントである「ヒュープロ」なら、BIG4から事業会社・FAS・コンサルまで幅広く求人を扱っていて、会計士の転職を知っているプロが最後まで伴走してくれます。
登録は無料なので、会計士であれば登録しておいて損はありません。
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関連記事として、
・あずさとの比較はあずさ監査法人はやばい?辞めたい激務と言われる実態
・EY新日本との比較は新日本監査法人はやばい?EY新日本の評判の実態
にまとめています。
・準大手・中小監査法人まで含めた比較は中小監査法人ランキング
・転職時期の決め方は公認会計士が監査法人から転職するタイミングはいつ?
・辞めるかどうかの判断は公認会計士を辞めたい…辞めるべき人・残るべき人の違い
をどうぞ。

トーマツがやばいかどうかは、正直なところ法人ではなく、あなたがどこに配属されて何を担当するかでほとんど決まります。そこまできて初めて、答えが出ますよ。


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