こんにちは。ひのです。
社労士試験に合格しても、実務経験がないと社労士登録できないのではないか。そう思って手が止まる人はとても多いです。

僕も合格した年に、まっさきに調べたのがこれでした。
この記事では、この4つに公式の一次情報で答えていきます。受験・登録・就職の3つで答えがまったく違うので、順番に分けて見ていきましょう。
先に結論を書きます。社労士試験の受験に実務経験は要りません。登録には2年の実務経験が必要ですが、事務指定講習を修了すればそれに代えられます。
つまり、実務経験がないことが理由で社労士になれない、ということは起こりません。
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僕は合格した時点で総務の経験が2年あったので、事務指定講習は受けていません。講習の中身は連合会の公表資料をもとに書いています。
この記事の執筆者の信頼性

僕はひのと言います。
【主な保有資格】
社会保険労務士(全国社会保険労務士会連合会 登録)
ファイナンシャルプランナー2級(日本FP協会 登録)
令和元年(2019年)に3度目の受験で社労士試験に合格しました。現在は会社の総務部門で、給与計算や社会保険の手続きを担当しています。
合格した時点で総務の実務が2年あったため、僕自身は事務指定講習を受けずに登録しました。ただ、同じ年に合格した知り合いには講習を受けた人が何人もいます。
この記事は「実務経験がなくても大丈夫」と励ますだけの記事ではありません。何年必要で、いくらかかって、どこで積めるのか。数字と手続きで見ていきたいと思います。
【結論】社労士に実務経験は必要か

「社労士 実務経験なし」で調べる人の悩みは、実は3つに分かれています。
| 場面 | 実務経験は必要か | 必要なもの |
|---|---|---|
| 社労士試験を受ける | 不要 | 学歴・実務経験・厚生労働大臣の認めた国家資格のいずれか1つ |
| 社労士に登録する | 2年必要 | または事務指定講習の修了(受講料77,000円) |
| 社労士として働く | 不要 | 求人側の条件次第。未経験可の求人はある |
つまり、実務経験がないことで詰むのは「登録」の1つだけです。そしてその1つは、お金と時間で解決できる仕組みが用意されています。

社労士法では、登録の要件を「2年以上の実務経験」または「厚生労働大臣がこれと同等以上の経験を有すると認めるもの」と定めています。この後者にあたるのが事務指定講習です。

順番に見ていきましょう。
社労士の受験資格に実務経験は必要?

まず受験の話から片づけます。社労士試験を受けるだけなら、実務経験はまったく必要ありません。
受験資格は「学歴」「実務経験」「厚生労働大臣が認めた国家試験の合格」の3つのうち、どれか1つを満たせば足ります。実務経験はあくまで3つのうちの1つです。
大学を卒業していれば①で通ります。学歴で足りない場合でも、行政書士に合格すれば③で受験資格を得られます。

大学を出ていないから受けられない、と思い込んでいる人が本当に多いです。
ここで注意したいのは、受験資格の「実務経験3年」と、登録要件の「実務経験2年」は別物だということです。年数も条件も違うので、混ざると話が合わなくなります。
関連記事:社会保険労務士は40代・未経験から転職できる?求人と年収の実態(登録を待たずに応募していい理由はこちら)
受験資格の細かい条件は下の記事にまとめています。
関連記事:社労士の受験資格要件は3つ!高卒から最短で受けるルートと必要書類を現役社労士が解説
社労士登録に必要な実務経験2年とは?

ここからが本題です。社労士を名乗るには、連合会の社労士名簿に登録して、都道府県社会保険労務士会に入会する必要があります。
その登録の要件が「労働社会保険諸法令に関する事務に2年以上従事したこと」です。合格しただけでは社労士ではない、というのはここが理由です。
社労士の実務経験① どんな仕事が2年に数えられるか
連合会が定めているのは「労働社会保険諸法令に関する厚生労働省令で定める事務」です。社労士事務所での勤務に限りません。
僕が2年としてカウントできたのも、社労士事務所ではなく一般企業の総務での手続き業務でした。

自分では「ただの事務」と思っていた仕事が、そのまま要件になっていました。
社労士の実務経験② 証明するのは自分ではなく勤務先
実務経験は自己申告では通りません。勤務先に実務経験の証明書を書いてもらい、登録申請に添付します。
ここが現実的にいちばん詰まるところです。すでに退職した会社に証明書を書いてもらう必要がある場合、連絡そのものが重い作業になります。
在職中なら、登録するかどうかを決める前に、証明書を出してもらえるかだけ先に確認しておくと後が楽です。
社労士の実務経験③ 2年に届かないときはどうするか
2年に1か月でも足りなければ、その時点では登録できません。取れる道は2つです。
急いで登録する理由がないなら①でかまいません。合格そのものに有効期限はないので、何年後に登録しても問題ありません。
実務経験がなくても社労士になれます

実務経験が2年に届かない人のために用意されているのが、全国社会保険労務士会連合会が実施する「事務指定講習」です。
この講習を修了すると、2年以上の実務経験と同等以上の経験があると認められ、社労士登録ができます。厚生労働大臣の認定を受けて実施されているものです。
社労士の事務指定講習① 受けられるのは誰か
対象は、社労士試験の合格者等で、労働社会保険諸法令に関する事務に従事した期間が2年に満たない人です。
合格した年に受けなければならない、という決まりはありません。数年後に受けても問題ありません。
社労士の事務指定講習② 通信指導課程は4月間
前半が通信指導課程です。送られてきた教材で自己学習し、郵便での通信教育方式で添削指導を受けます。期間は4月間です。
実務で使う書式に沿って課題を作成する形式なので、未経験者にとっては、ここが実質的な実務の入口になります。
社労士の事務指定講習③ eラーニング講習は8科目24時間
後半はeラーニング講習です。1科目3時間の動画を8科目、合計24時間視聴します。
科目ごとに効果測定の試験があります。連合会は「動画を視聴していれば分かる範囲の内容」と説明しています。

かつては会場に4日間通う面接指導課程でしたが、いまはeラーニングに変わっています。
ここは古い情報がネット上にたくさん残っているところです。会場に行かなければならないと思っている人は、いちど公式の実施要項を見ておくと安心できます。
社労士の事務指定講習④ 修了証に有効期限はない
通信指導課程の課題を期間内に提出し、eラーニングの全科目を視聴して効果測定で良好な成績を収めると、修了証がダウンロードで交付されます。
修了証に有効期限はありません。講習だけ先に済ませておいて、登録は転職が決まってから、という順番も取れます。

第45回(令和7年度)は11月4日から11月25日が申込期間でした。第46回は2027年2月開始で、申込受付は2026年11月上旬からと案内されています。
社労士の事務指定講習の費用と流れ

気になるのはお金の話だと思います。事務指定講習の受講料は77,000円(税込)です。そしてこれとは別に、登録そのものにもお金がかかります。登録免許税30,000円と、登録手数料30,000円です。

| 項目 | 金額 | 支払先 |
|---|---|---|
| 事務指定講習の受講料 | 77,000円 | 全国社会保険労務士会連合会 |
| 登録免許税 | 30,000円 | 国(オンライン申請なら収入印紙は不要) |
| 登録手数料 | 30,000円 | 全国社会保険労務士会連合会 |
| 小計 | 137,000円 | — |
| 都道府県社労士会の入会金 | 会ごとに異なる | 所属する都道府県会 |
| 都道府県社労士会の年会費 | 会ごとに異なる | 所属する都道府県会 |
出典:全国社会保険労務士会連合会「社労士の登録申請について(オンライン申請)」
入会金と年会費は都道府県会ごとに決められていて、連合会のサイトでは公表されていません。入会予定の会に直接確認する必要があります。

合格して終わりではなく、ここから十数万円が動くという話は、あまり書かれていません。
社労士の事務指定講習は受けるべきか
77,000円を出す価値があるかどうかは、その先に登録する予定があるかどうかだけで決まります。
登録しなくても合格は消えません。合格証書は一生ものなので、必要になってから動いても間に合います。
実務経験がなくても社労士関係の就職(転職)ができる

ここからは就職の話です。登録の要件とは別に、求人側が実務経験を求めるかどうかは、まったく別の問題です。
社労士試験の合格者は、令和8年度(第58回)で3,961人でした。受験者42,510人に対する合格率は9.3%です(厚生労働省 2026年10月1日発表)。
第58回の合格基準点と救済措置は『2026年(令和8年度)社労士試験の合格ライン・救済措置・難易度・講評まとめ』の記事で解説しています。合格発表の確認方法は『社労士の合格発表はいつ・何時?』の記事で解説しています。

一方で登録者数は46,506人(令和7年8月31日現在)です。合格者が年に数千人規模の資格で、企業の労務担当は常に必要とされています。

求人が無いのではなく、探す場所が偏っているだけ、というのが正直な実感です。
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社労士の実務経験はどこで積む?

実務経験を積める場所は、社労士事務所だけではありません。むしろ未経験から入りやすいのは、一般企業の総務・人事です。
| 勤務先 | 未経験からの入りやすさ | 積める実務 | 向いている人 |
|---|---|---|---|
| 一般企業の総務・人事 | ◎ | 社会保険の手続き、給与計算、労働保険の年度更新 | 会社員を続けながら2年を満たしたい |
| 社労士事務所 | ○ | 顧問先の手続き全般、就業規則、助成金 | 将来の開業を視野に入れている |
| 税理士事務所・法律事務所 | ○ | 労働社会保険関係の事務 | 士業の現場で幅を広げたい |
| 日本年金機構・労働局など | △ | 年金・労働保険の行政事務 | 公的機関で腰を据えたい |
社労士の実務経験を積む場所① 一般企業の総務・人事
僕が2年をカウントできたのがここです。社会保険の資格取得届や喪失届、給与計算、年末調整といった仕事がそのまま実務経験になります。
いま総務にいる人は、転職しなくても2年を満たせる可能性があります。まず自分の担当業務が要件に当たるかを確認するのが先です。
社労士の実務経験を積む場所② 社労士事務所
顧問先を複数持つため、手続きの量と種類が一気に増えます。開業を考えているなら、ここでの2年がいちばん濃い経験になります。
未経験可の求人も出ますが、繁忙期の労働時間は事務所によって差が大きいです。面接で年度更新と算定基礎の時期の働き方を聞いておくと、入ってからのギャップが減ります。
関連記事:社労士事務所はやめとけ?仕事がきつい4つの理由と離職率・年収を現役社労士が解説
社労士の実務経験を積む場所③ 税理士事務所・他士業事務所
税理士事務所で社労士部門を持っているところがあります。給与計算と社会保険をまとめて受託しているケースです。
会計の知識も一緒に身につくため、あとで独立する場合の相談の幅が広がります。
社労士の実務経験を積む場所④ 日本年金機構・労働局などの公的機関
日本年金機構や労働局、健康保険組合、労働保険事務組合でも、労働社会保険諸法令に関する事務に従事できます。
受験資格の一覧にも、これらの機関の役員・職員が明記されています。制度を作る側から見た運用を覚えられるのは、民間では得にくい経験です。
ただし採用の枠が限られていて、募集の時期も決まっています。未経験からの入口としては、一般企業の総務がいちばん現実的です。
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社労士求人の探し方

求人の探し方は4つあります。どれか1つに絞る必要はなく、同時に走らせるのがいちばん早いです。
| 探し方 | 未経験求人 | 手間 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 転職エージェント | 多い | 小 | 非公開求人を紹介してもらえる。書類と面接の対策が付く |
| 企業のホームページ | ふつう | 大 | 1社ずつ見る必要がある。志望度は伝わりやすい |
| 社労士事務所のホームページ | 少ない | 大 | 募集を出していない事務所もある |
| ハローワーク | ふつう | 中 | 地域の中小企業の求人が集まる。無料で相談できる |
社労士求人の探し方① 転職エージェント
求職者は無料で使えます。希望を伝えると条件に合う求人を探してくれるうえ、面接の日程調整もしてくれます。
未経験可の求人は、公開されていないことが少なくありません。エージェント経由でしか出てこない求人があるのは、ここが理由です。
合わなければ断ればいいだけなので、登録のリスクはほとんどありません。
社労士求人の探し方② 企業のホームページ
入りたい企業が決まっているなら、採用ページを直接見るのがいちばん確実です。総務や人事の募集は、社労士という肩書きを求人票に出さないことがあります。
「労務」「社会保険」「給与計算」で探すと、社労士と書かれていない求人まで拾えます。
社労士求人の探し方③ 社労士事務所のホームページ
地域名と社労士事務所で検索して、採用ページを1つずつ見る方法です。手間はかかりますが、募集を出していない事務所に問い合わせて採用が決まることもあります。
社労士求人の探し方④ ハローワーク
地域の中小企業の求人が集まります。窓口で相談できるので、実務経験なしの伝え方を一緒に考えてもらえるのが利点です。

僕が転職したときは、エージェントとハローワークを並行して使いました。
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未経験可の求人は公開されていないことがあります。まず一覧を見てから決めても遅くありません。
就職そのものへの不安が大きい方は、下の記事もあわせてご覧ください。
関連記事:社労士は就職できない資格?3つの理由と社労士求人の見つけ方
関連記事:社労士の年収は1,134万円?統計のカラクリと勤務社労士の現実を解説
【分岐点】実務経験なしの社労士がつまずく3つの場面

ここがこの記事でいちばん大事なところです。登録も就職もできる。それでも、実務経験なしで社労士になった人がつまずく場面ははっきりしています。
理由は3つあります。
社労士試験は、条文と数字を正確に覚えているかを問う試験です。実務は、目の前の1人の従業員について、どの様式をいつ出すかを決める作業です。
この2つは重なっていますが、同じではありません。試験に受かった直後は、資格取得届の書き方すら分からなくて当たり前です。

僕も総務にいたのに、合格した年に初めて触った書式がいくつもありました。
社労士の実務を埋める方法① 事務指定講習の課題をていねいにやる
通信指導課程は、実務で使う書式に沿って課題を作る形式です。ここを写経のように流すか、1件ずつ意味を考えて書くかで、修了後の実感がまるで変わります。
受講料77,000円のうち、実務の入口として効いてくるのはこの4月間の部分です。
社労士の実務を埋める方法② 実務講座で書式ごと練習する
講習だけでは足りないと感じるなら、実務に特化した講座で補う手があります。アガルートは社労士の実務講座を開講していて、入退社時の保険・年金手続きや定年退職時の保険など、相談の多い事例を扱っています。
講座ごとに申し込めるので、必要な分野だけを買って埋めることができます。
なお、僕自身はこの講座を受講していません。開講内容はアガルートの公式サイトの記載にもとづいて書いています。

実務経験を積んだあと、次の資格で市場価値を上げる方法も整理しています。
関連記事:社労士のダブルライセンスおすすめ10選!最強の組み合わせを現役社労士が相性と年収で比較
社労士に登録しないという選択肢はあり?

ここまで登録を前提に書いてきましたが、登録しないまま働き続ける人もたくさんいます。
社労士試験に合格しても、登録するかどうかは本人の自由です。登録して初めて社会保険労務士を名乗れる、というのが法律上の扱いです。
| 登録する | 登録しない | |
|---|---|---|
| 名乗り | 社会保険労務士と名乗れる | 名乗れない (試験合格者とは書ける) |
| 独占業務 | 1号・2号業務ができる | できない |
| 費用 | 登録免許税と手数料で60,000円+年会費 | 0円 |
| 実務経験 | 2年または事務指定講習が必要 | 不要 |
| 向いている人 | 転職・開業・社内で肩書きが要る人 | いまの仕事で知識だけ使う人 |
会社の総務で働くだけなら、登録していなくても知識はそのまま使えます。年会費を払い続ける意味があるかは、名刺に肩書きが要るかどうかで決まります。

僕は勤務登録をしていますが、正直、迷った時期がありました。
登録の種別や、登録後にかかる費用は下の記事にまとめています。
関連記事:社労士その他登録メリットはコレ!開業も勤務も登録しない選択肢を解説
社労士の実務経験なしに関するよくある質問
社労士は実務経験なしでも大丈夫 まとめ
最後に、この記事の要点をまとめます。
【この記事のまとめ】
・受験に実務経験は不要。学歴・実務経験・国家試験合格のどれか1つでよい
・登録には2年の実務経験が必要だが、事務指定講習の修了で代えられる
・事務指定講習は通信指導課程4月間+eラーニング24時間、受講料77,000円
・会場に行く面接指導課程は廃止され、いまはeラーニング
・修了証に有効期限はなく、登録は後回しにできる
・登録には登録免許税30,000円と手数料30,000円、ほかに都道府県会の入会金と年会費
・実務経験は社労士事務所以外でも積める。一般企業の総務・人事がいちばん入りやすい
・未経験可の求人は公開されていないことがあるため、エージェントの併用が早い
社労士試験に受かるまでに、多くの人が1,000時間近くを使っています。その1,000時間を、実務経験がないという一点で止めてしまうのがいちばんもったいないです。
登録するかどうかは、あとで決めてかまいません。まずは求人を見て、いまの自分にどんな選択肢があるのかを知るところからで十分です。

求人を眺めているうちに、やりたい仕事のほうが先に決まることがあります。
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関連記事:社労士は就職できない資格?3つの理由と社労士求人の見つけ方
関連記事:社労士のダブルライセンスおすすめ10選!最強の組み合わせを現役社労士が相性と年収で比較
関連記事:社労士の年収は1,134万円?統計のカラクリと勤務社労士の現実を解説
関連記事:【2026年度】社労士通信講座おすすめランキング|現役社労士が9社を徹底比較

