こんにちは。ひのです。
司法試験の論文式では、憲法・民法・刑法などの法律基本7科目に加えて、選択科目を1科目書かなければなりません。
ところが選べる科目は8つもあり、どれを選ぶかで、必要な勉強量も、手に入る教材の充実度も大きく変わります。
最初の科目選びでつまずくと、あとから取り返すのが難しいのが選択科目です。
先に結論の方針を示します。
選択科目は『選択率・学習量・合格率・自分の得意分野』の4つの軸で見れば、ほとんどの人が労働法・経済法・倒産法のいずれかに落ち着きます。教材と情報が豊富な科目を早めに1つ決めて走り切るのが、いちばん失敗しにくい選び方です。
この記事では、司法試験の選択科目8つの全体像と選び方を整理したうえで、人気の高い労働法・経済法・倒産法を厚めに、残りの5科目もコンパクトに、特徴とおすすめ基本書まで紹介します。
選択率・合格率・学習量のデータも交えて、あなたが自分に合う1科目を選べるようにします。
【この記事でわかること】
・司法試験の選択科目8科目
・後悔しない選択科目の選び方
・人気3科目(労働法、経済法、倒産法)の特徴と定番書
・残り5科目の特徴とおすすめ基本書
・合格率・学習量から見た『コスパ』の考え方
・選択科目はいつ決める?独学と講座の使い分け
この記事の執筆者の信頼性

僕『ひの』は、3度の社会保険労務士試験受験・2年半の試験勉強を経て令和元年度社労士試験に合格した、現役の社会保険労務士です。
【主な保有資格】
社会保険労務士(全国社会保険労務士会連合会 登録)
ファイナンシャルプランナー2級(日本FP協会 登録)
※3度の受験で『合格基準点待ち』の不安を経験しています。うち2回は不合格。
法律系国家資格である社労士に挑戦した経験から、『どの科目・どの教材を選ぶかで合否が変わる』ことを身をもって知っています。
社労士試験にも科目選択や得意・不得意の戦略があり、どこに時間を割くかの判断が結果を左右する点は、司法試験の選択科目選びと通じるものがあります。
もちろん、僕は司法試験・予備試験そのものの合格者ではありません。
ただ、法律系国家資格の学習者が、科目や教材の選び方でどこでつまずくかという点では、当事者として実感があります。
この記事では、合格者の自慢話ではなく、公表データと各科目の特徴をフラットに整理するキュレーターの目線で書いています。

選択科目は『正解』が一つに決まるものではありません。公表データと特徴を並べて、あなたが選びやすくなるよう整理していきます!
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司法試験の選択科目とは?

司法試験の論文式は、法律基本7科目(憲法・行政法・民法・商法・民事訴訟法・刑法・刑事訴訟法)に加えて、選択科目1科目で構成されます。
選択科目は次の8つから、出願時に1つを選びます。
【司法試験の選択科目8科目】
労働法・経済法・知的財産法・倒産法・租税法・環境法・国際関係法(公法系)・国際関係法(私法系)
なお選択科目は、2022年(令和4年)から予備試験の論文式にも導入されました。
予備試験では従来の一般教養に代えて、同じ8科目から1つを選ぶ形になっています。予備試験ルートの方は、予備で選んだ科目を司法試験でもそのまま使うのが一般的です。
予備試験側の詳しい解説は『予備試験の選択科目の選び方』をご覧ください)。
まず、どの科目が一番選ばれているのかを見てみましょう。
下のグラフは、司法試験の選択科目別の選択率です。労働法が約3割で断トツの1位、次いで経済法・知的財産法・倒産法が続きます。

直近の令和7年(2025年)司法試験でも傾向は同じで、労働法が約29%・経済法が約21%・倒産法が約18%と、この3科目で受験者の3分の2近くを占めます。
人気科目は、それだけ教材・講座・過去問の情報が充実しているということでもあり、対策のしやすさに直結します。
| 区分 | 科目 | ざっくりの位置づけ |
|---|---|---|
| 人気上位 | 労働法 | 受験者最多。 教材・情報が最も豊富 |
| 人気上位 | 経済法 | 分量が少なめで効率的 |
| 人気上位 | 倒産法 | 民事系と相性。 合格率が安定して高い |
| 中位 | 知的財産法 | 実務人気。 理系・IT志望と相性 |
| 中位 | 国際私法 | 分量が軽め。 予備合格者に人気 |
| 少数 | 租税法・環境法・国際公法 | 関心・実務志向で選ぶ少数派 |

まず大枠として『労働法・経済法・倒産法の3強』。
多くの受験生はこの中から選んでいます!
司法試験の選択科目の選び方

8科目から1つを選ぶとき、何を基準にすればよいのでしょうか。
後悔しない選択科目選びの4つの軸を挙げます。この『目』を持っておくと、人の意見や評判に流されずに、自分に合う科目を判断できます。
軸① 学習量(科目のボリューム)
最初に意識したいのが勉強量の差です。
選択科目に割ける時間は人それぞれ。経済法や国際私法は分量が比較的少なく、労働法や知的財産法はボリュームが大きい傾向があります。
基本7科目で手一杯になりがちな人ほど、軽い科目を選んで負担を抑えるのも立派な戦略です。
軸② 合格率・安定性
科目ごとの選択者の合格率も参考にしましょう。
ただし科目間で合格率に大きな差はなく、おおむね選択者数の多い科目ほど安定します。
数字だけで飛びつくより、『極端に不利な科目を避ける』程度の使い方が現実的です。
軸③ 法律基本科目との親和性
選択科目は、法律基本科目と相性(親和性)があります。
たとえば倒産法は民法・民事訴訟法と関連が深く、民事系が得意な人は学習が進みやすい。逆に公法・刑事系が得意なら、その強みを活かせる科目を選ぶ手もあります。
すでに得意な分野の知識を流用できる科目は、コスパが高くなります。
軸④ 興味・実務での使いやすさ
最後は自分の興味・キャリア志向です。
選択科目の学習は長丁場。関心を持てる科目のほうがモチベーションが続きます。
知的財産法はIT・メーカー志望、労働法は人事・企業法務志望など、将来やりたい仕事と結びつけて選ぶと、学習にも実務にも活きてきます。
【選択科目 選び方の4つの軸】
① 学習量(割ける時間に合うボリュームか)
② 合格率・安定性(極端に不利な科目を避ける)
③ 法律基本科目との親和性(得意分野を流用できるか)
④ 興味・実務での使いやすさ(続けられるか)

『軽さ・安定・相性・興味』の4つ。全部を満たす完璧な科目はないので、自分が重視する軸から決めるのがコツです!
【人気の3科目】労働法・経済法・倒産法の特徴とおすすめ基本書

ここからは、受験者の多くが選ぶ労働法・経済法・倒産法の3科目を、特徴・向いている人・定番の基本書まで紹介します。
版は改訂されるので、購入時は必ず最新版を確認してください。
労働法(選択者が最も多い王道)
労働法は、新司法試験が始まって以来選択率1位を守り続けている王道科目です。
労使関係や解雇・賃金など、生活に身近でイメージしやすいのが人気の理由。教材・講座・過去問が最も充実しており、情報量で困ることがほぼないのが最大の強みです。
一方で注意したいのが勉強量の多さ。
記憶すべき判例・条文が多く、選択科目のなかでもボリュームは大きめです。暗記が得意で、選択科目にしっかり時間を割ける人に向きます。
定番の基本書は水町勇一郎『労働法』(有斐閣)が代表格で、菅野和夫・山川隆一『労働法』(弘文堂)も広く使われます。
判例は『労働判例百選』(有斐閣)を併用します。
経済法(分量が少なく効率的)
経済法(独占禁止法)は、近年労働法に次ぐ人気2位に定着しました。
最大の魅力はインプットの分量が少なく、扱う条文も限られること。選択科目に時間をかけたくない人に向いた効率科目です。
ただし、経済法は『あてはめ』で差がつく科目でもあります。知識量より、事案に当てはめる現場思考力が問われるため、過去問であてはめの型を体に入れるのが対策のカギ。
定番の基本書は金井貴嗣ほか『独占禁止法』(弘文堂)が代表格です。
判例は『経済法判例・審決百選』(有斐閣)を使います。
下のグラフは、人気3科目(労働法・経済法・倒産法)の選択者の合格率の推移です。3科目とも近年は40%台後半で大きな差はなく、いずれを選んでも合格率の面で極端に不利になることはありません。

倒産法(民事系に強い人の堅実な選択)
倒産法は、破産法・民事再生法を扱う科目です。
民法・民事訴訟法との関連が非常に強いため、民事系が得意な人ほど相乗効果が大きいのが特徴。倒産法を学ぶことで民法・民訴の理解も深まる、という副次効果も期待できます。
注目すべきは合格率の安定感です。
倒産法の選択者は、例年トップクラスの合格率を維持しています(民事系に強い受験生が選びやすいという背景もあります)。
学習量は労働法と並んで多めですが、民事系の地力がある人には堅実な選択です。
定番の基本書は伊藤眞『破産法・民事再生法』(有斐閣)が代表格。
判例は『倒産判例百選』(有斐閣)を併用します。

迷ったら『労働法(王道)・経済法(軽い)・倒産法(民事得意)』の3つから。多くの受験生はここに収れんします!
【その他5科目】知的財産法・国際私法・租税法・環境法・国際公法

人気3科目以外の5科目も、関心や得意分野によっては有力な選択肢です。
特徴とおすすめ基本書をコンパクトに整理します。
| 科目 | 特徴 | 定番書(一例) |
|---|---|---|
| 知的財産法 | 特許・著作権。実務人気。 分量は多め | 中山信弘『特許法』『著作権法』(弘文堂) |
| 国際私法 | 分量が軽め。 予備合格者に人気 | 中西康ほか『国際私法』(有斐閣) |
| 租税法 | 受験者は少数。 実務で重宝される | 金子宏『租税法』(弘文堂) |
| 環境法 | 受験者が少なく講座も限定的 | 北村喜宣『環境法』(弘文堂) |
| 国際公法 | 選択者はごく少数。 情報が少ない | 岩沢雄司『国際法』(東京大学出版会) |
知的財産法は、特許法・著作権法を中心に扱い、理系学部出身者やIT・メーカー志望の人がバックグラウンドを活かして選ぶケースが目立ちます。
実務人気が高い反面、裁判例中心で勉強量は多め。近年は予備校講座も充実してきています。
国際私法は、分量が軽めで、ロースクール生より学習時間が限られる予備試験合格者に人気という特徴があります。短期間で仕上げたい人の候補になります。
租税法・環境法・国際公法は、いずれも選択者が少数の科目です。
情報交換の相手や講座が限られる一方、租税法は租税に強い法曹は希少で実務で重宝されるといった魅力もあります。よほどの関心や実務上の理由がなければ、人気上位科目を選ぶのが無難ですが、強い動機があるなら少数科目も十分に戦えます。
下のグラフは、各選択科目の学習量の目安(ある大手予備校の講義時間)です。経済法・国際公法・租税法は軽め、労働法・知的財産法は重めという傾向がはっきり出ています。
割ける時間とのバランスで見てみてください。


少数科目は情報が少ないのがネック。それでも『どうしてもこれを学びたい』があるなら、選ぶ価値は十分あります!
合格率・学習量から見た選択科目の『コスパ』

選択科目を『コスパ(費用対効果)』で考えると、見るべきは『合格率』と『学習量』の2つです。
合格率は科目間で大きく変わらないので、学習量とのバランスで決めるのが合理的です。
先のグラフのとおり、人気3科目の合格率はいずれも近年40%台後半で横並び。
つまり『どの科目なら受かりやすいか』より『どの科目なら自分が仕上げ切れるか』のほうが重要です。仕上げ切れなければ、合格率が高い科目を選んでも意味がありません。
| タイプ | おすすめの方向性 | 候補科目 |
|---|---|---|
| 時間をかけたくない | 学習量の軽い科目で効率重視 | 経済法・国際私法 |
| 王道で安心したい | 情報量が多く対策しやすい科目 | 労働法 |
| 民事系が得意 | 得意分野を活かせる科目 | 倒産法 |
| 興味・実務で選ぶ | 続けられて実務に活きる科目 | 知的財産法・労働法 |
迷ったときの基本方針は、『労働法(王道)か、経済法(軽い)か』の二択から考えること。
そのうえで、民事系が得意なら倒産法、特定分野に強い関心があればその科目、と調整していくと、納得感のある選択にたどり着けます。

『受かりやすい科目探し』より『自分が最後まで仕上げられる科目選び』。これがコスパの本質です!
選択科目はいつ決める?着手のタイミング

選択科目をいつ決めて、いつ着手するかも合否に効いてきます。結論は、
『基本7科目の土台ができてきた段階で、早めに1つに絞る』
です。
理由はシンプルで、迷っている間は、どの科目の勉強も進まないからです。複数科目を比較検討するのは大事ですが、決め切れずに時間を浪費するのが最悪のパターン。
遅くとも論文対策を本格化させる前には1科目に決め、定番書を1冊そろえて着手しましょう。
予備試験ルートの人は、予備の段階で選んだ選択科目を、司法試験でもそのまま継続するのが基本です。ロースクールルートの人は、開講科目や指導が手厚い科目を選ぶと学習環境の面で有利になります。
『司法試験の勉強時間の記事』とあわせて、選択科目に割く時間を見積もっておきましょう。

選択科目は『早く決めた人勝ち』。比較は短く、決めたら一気に仕上げにかかりましょう!
選択科目は独学で対策できる?講座の使いどころ

司法試験全体でもいえることですが、選択科目をも独学で対策できるかは、よくある悩みです。
答えは、
『人気科目なら独学も可能、ただし情報の少ない科目ほど通信講座が効く』
選択科目は、基本7科目に比べて市販教材や過去問の情報が集めにくい分野でもあり、ここが独学の弱点になりがちです。
とくに論文の書き方・あてはめの型は、選択科目でも独学では身につけにくい部分。
基本書を読んで知識を入れても、答案の形に落とし込めているかを自分で判断するのは難しいのが実情です。
詳しくは、『司法試験の独学が難しい理由』もご覧ください。
そこで現実的なのが、基本科目は自分のやり方で進めつつ、選択科目だけ講座(単科)で補うという使い分けです。
今回は、代表的な通信講座4社を特徴別に紹介します。
①費用を抑えたい人はスタディングがおすすめ
スタディングは予備試験講座が約14.8万円と最安水準。
スマホ完結で、分量の軽い選択科目を効率よく仕上げる使い方に向きます。
詳細は、当サイトのスタディングの評判レビュー記事へ。
論文添削を重視する人:資格スクエア
資格スクエアは人による論文添削が業界最多水準の275通。
選択科目の答案も見てもらえる環境がほしい人に向く中価格帯の講座です。
詳細は、資格スクエアの評判レビュー記事へ。
選択科目対策で選ぶならアガルート
アガルートは選択科目対策講座(総合講義+過去問解析+論証集の使い方)がそろい、2025年の司法試験合格者1,581名のうち618名(占有率39.1%)を輩出した実績が強み。
独学では情報を集めにくい選択科目を体系的に学べるのが魅力です。
詳細は、『アガルートの総合レビュー記事』を参考にしてください。
対面・老舗の手厚さを求める人伊藤塾
伊藤塾は創立30年を超える老舗・最大手。
費用は約147.6万円と高めですが、対面を含む手厚いサポートと豊富な合格実績が魅力です。
伊藤塾の詳細は、『伊藤塾の評判レビュー記事』へ。
【タイプ別 選択科目対策の選び方】
・費用を抑えたい → スタディング
・論文添削をしっかり受けたい → 資格スクエア
・選択科目を体系的に対策したい → アガルート
・対面・老舗の手厚さが欲しい → 伊藤塾
4社をフラットに並べて検討したい方は、『司法試験・予備試験の通信講座おすすめ比較記事』で料金・添削・実績を一覧できます。
選択科目の基本書まわりは『司法試験の基本書・参考書おすすめ記事』、司法試験の合格率の全体像は、『司法試験の合格率の記事』もあわせてどうぞ。

人気科目なら独学も十分可能。情報が少ない科目や、論文添削がほしい部分だけ講座で補うのが賢い使い方です!
司法試験の選択科目に関するよくある質問

まとめ ~選択科目は『早く1つに決めて、定番書で走り切る』~
司法試験の選択科目選びの結論は、『選択率・学習量・合格率・得意分野の4軸で見て、人気科目から早めに1つに決める』こと。
多くの人は労働法・経済法・倒産法のいずれかに落ち着きます。迷い続けないことが、選択科目で最も大事なポイントです。
| ポイント | 結論 |
|---|---|
| 科目数 | 8科目から論文で1科目を選ぶ |
| 人気3科目 | 労働法・経済法・倒産法で受験者の約2/3 |
| 学習量 | 経済法・国際私法は軽め/労働法・知財は重め |
| 合格率 | 科目間の差は小さい。 倒産法が安定して高め |
| 決める時期 | 土台ができたら早めに1つへ絞る |
| 独学と講座 | 人気科目は独学可。 情報が薄い部分は通信講座で補う |
選択科目は、『受かりやすい科目』を探すより『自分が最後まで仕上げられる科目』を選ぶのが正解です。
定番書を1冊決めて走り切れば、選択科目は十分に得点源になります。
基本書選びは『司法試験の基本書・参考書おすすめの記事』、通信講座比較は,『通信講座おすすめ比較記事』もあわせてご覧ください。
科目選びで遠回りしないことが、合格までの時間を確実に縮めます。あなたが自分に合う選択科目に早く出会い、最短ルートで司法試験合格へ進めることを、心から願っています。

選択科目は『決めた人から強くなる』分野です。この記事が、あなたの1科目を決める後押しになればうれしいです!

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